新春トップインタビュー:日本観光振興協会会長 山口範雄氏

裾野の広い業界で連携を強化し
観光でもグローバル競争に勝つ

─貴会が2015年に注力する活動についてお聞かせください

 山口 まず1点目は、裾野が広い観光産業にとっては「連携」が大事なので、そのための体制づくりを続ける。昨年1月には地域と産業界の約100社が連携し、観光促進のテーマを作るための「観光立国推進協議会」を立ち上げた。今年1月20日には第2回の会合を開催し、提言をまとめる予定だ。そのほか、昨年7月にはJATAおよび日本政府観光局(JNTO)と、ツーウェイツーリズムの拡大などに向けた包括協定を締結したので、連携をさらに強化していく。

 2点目は、グローバル競争に勝つために、様々な手を打ちたい。ハード面では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、国際空港や2次交通などの整備、クルーズ船への対応などを進める必要がある。ソフト面では、ビザ取得や免税品対応、CIQなどに関する簡略化が必要だ。各所と意見交換を進めながら、それぞれが自分たちのフィールドで準備を進めていく。

 3点目はツーウェイツーリズムで、特に日本から中国、韓国への旅行者数を増加させなくてはいけない。12月にJATAが催行したメガファムなど、さまざまな企画を実行し、連携の場を作っていくことが大事になる。8月にソウルで「日韓観光交流拡大シンポジウム」を開催し、12月に東京でも開催したことは、両方がその必要性を痛感していることの現れだろう。

 4点目は、第2回のツーリズムEXPOジャパン開催を成功させて、将来的にはドイツの「ITBベルリン」などに比肩する世界レベルのイベントにしたい。そのためにはさらに海外からの出展を増やす必要がある。昨年は初回ということもあり、事前のピーアールが不十分だったかもしれないので、次回に向けては確実に進める。

 5点目は地域づくりで、国が進める地方創生の大きな部分を観光が担うための、具体策について検討する。6点目は人材育成で、産学連携によるセミナーの開催や、大学の寄附講義などに協力したい。産学官民が連携してこれらを積み上げていくことで、日本が観光産業でもグローバル競争に勝つことを目指していく。