現地レポート:ニューヨーク、MICE誘致を強化、ブロードウェイなど多様な素材アピール
ベニュー再オープンやホテル増加で利便性向上
多様な素材でインパクトの強い体験を提供
ニューヨーク市観光局は、全米旅行産業協会のMICE推進員として、ブロンクス、ブルックリン、マンハッタン、クイーンズ、スタテン島の5行政区を通じてMICEの誘致を促進しているところ。今年はホテルの客室数の増加や、ベニューの再オープンなど、ニューヨーク全体でMICEに関わる開発も進んでいる。今回は、「ブロードウェイ・インバウンド」とデルタ航空(DL)の協力のもと、ニューヨーク市観光局が実施したFAMツアーに参加し取材した、MICE市場の現状とニューヨーク市観光局の取り組み、そしてホテルやベニュー、アクティビティの最新情報を紹介する。
ホテルの客室数増加、大規模ボールルームがリニューアル
MICEを実施する際に最も重要となる要素の一つが宿泊施設だが、ニューヨーク市観光局によると、2013年のニューヨークのホテル客室稼働率は全米1位の87%と高い水準にある。しかし、客室数は増加しつつあり、2013年のニューヨークのホテル数は500軒で部屋数は9万6000室だが、2014年下期だけで34軒の新規ホテルが開業予定。これにより、年内には部屋数が約10万4500室になる計画だ。
ホテルのMICE向け施設としては、マンハッタンのミッドタウンに位置するニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウンが、今年8月にグランドボールルームを再オープン。グランドボールルームは立席で2600名、着席で2200名の収容が可能で、ニューヨークにあるホテルのボールルームの中では最大の床面積という。また、4階には小規模の会議室を9室設置しており、小型から大型MICEまで幅広く対応が可能だ。
一方、ブロードウェイ通りにあるマリオット・マーキースでは、4階から9階の6フロアに宴会場やミーティングスペースを設置。会議室は全55室。同ホテル最大のボールルームでは、立席で2800名、着席で2400名収容できる。
地下鉄延伸でコンベンションセンターへの交通が便利に
ニューヨーク市内には20路線以上の地下鉄が走っており、市内の移動が簡単なことも特徴。ニューヨーク市観光局グローバルツーリズム振興担当上席副局長のマキコ・マツダ・ヒーリー氏も「ニューヨークシティはぎゅっと詰まっていてどこに行くにも近い」ことが利点と説明する。地下鉄は一般旅行者に加えMICEの際の移動手段としても多く利用されており、定額のプリペイド式チケット「メトロカード」が用意されるなど利便性も高い。
この地下鉄に関するアップデートとして、現在7番線で拡張工事が実施されているところ。終点駅である42丁目のタイムズ・スクエアを、マンハッタンの西端34丁目11番街のジェイコブKジャビッツ・コンベンション・センターの向かいまで延伸するため、コンベンションセンターまでの移動が容易になる。工事は来年の2月に終了する計画だ。