20年以降見据え、産学連携で観光立国の道模索-ツーリズムEXPO

業界関係者によるパネルディスカッション、
学生による観光振興策発表会など実施

研究発表、最優秀賞はSNSでのツーウェイ振興策

 第2部では、学生による観光振興に関する研究発表会を実施。50件近い応募があったうち、書類審査を経て選抜された一橋大学大学院、椙山女学園大学、立命館大学大学院、琉球大学の4チームが参加者の前でプレゼンテーションをおこない、アイデアの独創性や実現可能性、国内経済への貢献度などを競い合った。

琉球大学観光産業科学部の真栄城佑理さん このうち最優秀賞は、琉球大学観光産業科学部産業経営学科チームによる研究「TOMODACHI PROJECT ~SNSでマッチング!観光サービス交換によりツーウェイツーリズムを活性化させよう~」が獲得した。同プロジェクトはSNSを活用して旅行者と旅行者のマッチングをおこない、双方が自らの住む地域の魅力を相手に紹介することで、全国各地においてツーウェイツーリズムの促進をはかるもの。代表としてプレゼンテーションをおこなった真栄城佑理さんは、将来的には東京オリンピック開催を契機として取り組みを世界規模に拡大し、国内外のツーウェイツーリズムを促進するヴィジョンも示した。

日観振理事長の見並陽一氏 審査委員を務めた日観振理事長の見並陽一氏は、「若者が旅に出なくなったと言われるが、(SNSなどで)『仲間を作る』という強みを持つ現代の若者が自らの住む地域について知り、友達に紹介することができれば、その経験は財産になる」と解説。結果的にはそのような活動が観光交流の拡大につながると評価し、「一歩一歩着実にモデルを作っていっていただきたい」と要望した。

 優秀賞は、「祭ガールがおもてなし 犬山バックヤードツアープロジェクト~東海圏の『山車からくり文化』の保全と再生に向けて~」を発表した椙山女学園大学文化情報学部文化情報学科のチームが獲得した。同プロジェクトは犬山祭開催後に行われる「車山壊し」など、地域の祭の舞台裏を観光客に紹介して実際に体験してもらうことで、地域振興とともに失われつつある伝統文化の復興を試みるもの。見並氏は、観光を通じて地域文化を保全するだけでなく、その過程に地域の外からの旅行者を支援者として取り込むアイデアの独創性を評価した。

横浜商科大学教授の宍戸学氏 見並氏とともに審査委員を務めた横浜商科大学商学部貿易・観光学科教授の宍戸学氏は、審査にあたっては着眼点の若者らしさや将来性、研究や発表への情熱などを考慮した旨を説明。「それぞれ非常にユニークで面白く、審査は難しかった」と総評を述べるとともに、「もう少し広い視野に立って物事を見れば、さらに将来への可能性が広がる」と指摘し、学生たちの今後の活動にエールを送った。