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20年以降見据え、産学連携で観光立国の道模索-ツーリズムEXPO

業界関係者によるパネルディスカッション、
学生による観光振興策発表会など実施

 9月下旬に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2014」では、日本観光振興協会(日観振)と日本学生観光連盟による、「産学連携ツーリズムセミナー」が開催された。参加者は旅行業界に関心のある約200人の学生、旅行業界に従事する約100人の一般社会人などからなる約300人。業界関係者によるパネルディスカッション「2020年のツーリズム ~2020年以降のツーリズム産業を見据えて~」や、審査を経て選ばれた大学生の4チームによる「観光振興のための方策に関する研究発表」を実施した。


業界全体が若い力を待望「未来担う人材に」

 同セミナーは産学連携事業の一環として、2005年から「旅フェア」において、学生や一般社会人などを対象に「産学連携オープンセミナー」として実施してきたもの。今年は、「ツーリズムEXPOジャパン」の初開催に合わせて、新たに「産学連携ツーリズムセミナー」に改称し、国土交通省、観光庁、文部科学省、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本旅行業協会(JATA)などが後援団体として名を連ねた。

日観振会長の山口範雄氏 セミナーの冒頭で主催者として挨拶をおこなった日観振会長の山口範雄氏は、出席した学生に向け、富士山の世界遺産登録や和食の無形遺産登録、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定など、近年は日本の観光産業に対して追い風が吹いている旨を説明。特に東京オリンピック開催の重要性について強調した上で、「皆さんも2020年には、社会人として日本全体への経済波及効果を構築する一員となっている」と述べ、旅行業界の未来への貢献に期待感を示した。

 また、2020年以降の日本の観光産業の構築にあたっては、「皆さんのような人材が、可能性を現実のものにしていくカギとなる」と激励。今回のセミナーを通じて学生たちが旅行業界への関心をさらに高めることを希望し、「明るい未来を担う人材になっていただくことを期待する」とエールを送った。

観光庁観光産業課課長の石原大氏 来賓として登壇した観光庁観光産業課課長の石原大氏は、ツーリズム業界での仕事について「1つの決まった答えがあるわけではない。世の中の事象を捉えながら、絶えず将来を見据えていかなくてはいけない」と語り、難しさを伴うものであることを伝えた。その一方で「そういう意味では、これほどクリエイティブで自分の発想を生かせる仕事はない」と述べ、やりがいのある仕事であることを強調した。また、ツーリズム産業が今後の日本経済を支える重要な柱となることを説き、「社会人になる際には、是非ともツーリズム産業を選択肢として考えてほしい」と呼びかけた。

立教大学観光学部の大川周良さん セミナーの第1部では、日本学生観光連盟(学観連)の代表を務める立教大学観光学部の大川周良さんが同連盟の現況について報告。観光を学ぶ24大学・約540名の学生で構成する同連盟の概要や、日頃の勉強会などの内容について説明するとともに、10月には震災の被害を受けた福島県いわき市の視察ツアー、11月にはホテル会社の社員などを招いて講演会を予定していることなどを明らかにした。2020年の東京オリンピックについては、「感動を作るのは我々の役目」と宣言し、「様々なプロジェクトを通し、観光立国の一助として未来を担うべく取組みを続ける」と意欲を見せた。