楽天、引き続き訪日に注力-英語サイト刷新、多言語化推進も
楽天は7月7日に契約宿泊施設向けに開催した「楽天トラベルEXPO2014」で、引き続きインバウンドの取り扱いに注力する考えを示した。同社によれば、2013年の訪日外国人客の宿泊流通額は前年比76.8%増。同社執行役員トラベル事業長の山本考伸氏は「インバウンド事業は重点項目の1つ」と強調し、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏も「政府はビザ発行の大幅緩和を進めており、将来的には訪日4000万人や5000万人も可能だと思う」との考えを示した。三木谷氏によれば、東京都に働きかけていた2020年までの無料WiFi敷設も「ほぼまとまった」という。
同社における今後の取り組みでは、まずは既存の英語サイトを7月8日にリニューアルする予定。デザインを刷新し、よりモバイル機器で見やすいものに変更する。また、従来は英語のみに注力していた外国語サイトについて、今後は多言語化を推進し韓国語、中国語繁体字、簡体字のサイトについても重点化する。日本政府観光局(JNTO)によれば、2013年に日本を訪れた外国人のうち58%が韓国人、台湾人、中国人だったものの、同社におけるこれら3ヶ国のシェアが27%にとどまったことなどを勘案したもの。
また、これまで扱ってこなかった言語についても取り組みを開始する。同社インバウンド推進グループマネージャーの山上哲平氏は、これら3ヶ国を含むアジア諸国についてはFITの比率が低いことから、「伸びる余地が大きい」と期待を寄せた。
加えて、今後はモバイル機器においてもインバウンドのマーケティング活動を強化する。具体的にはPCサイトと同じコンテンツを展開するほか、各デスティネーションのキャンペーンも積極的におこなうことで、日本ならではの魅力的な観光資源などを発信。外国人には知名度の低いコンテンツなども積極的に紹介し、インバウンドの取り扱い強化につなげたい考えだ。
インバウンド以外の今年度下半期の注力事項としては、スマートフォンサイトのアップデートを推進。今夏には消費税や口コミの表示方法に関するブラッシュアップなどを実施しているが、今秋以降はホテル価格の表示方法の修正などを進める予定。そのほか管理画面の改修についても、ユーザーインターフェースの簡略化や、モバイル機器からの操作性の向上などに努めるとした。
なお、三木谷氏は参加者に対し、同社が7月1日に設立されたエアアジア・ジャパンに資本参加したことを報告。エアアジア・ジャパンがインバウンドだけでなく、国内旅行の旅客数の大幅増にも寄与するとの見込みを示し、「我々が主体となるわけではないが、サイドからサポートすることで宿泊施設への送客にも役立てたい」と語った。
また、「LCCは既存の日本航空(JL)や全日空(NH)、JRなどを使っている旅行者ではなく、これまで『飛行機は高い』と思っていた方々に大きな門戸を開く」と説明し、関係者に理解と協力を求めた。