開花亭、十和田観光ホテルで破産開始決定、鳥栖観光開発は保全命令

  • 2014年6月8日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、福井県あわら市の「開花亭」が5月19日に福井地裁から、青森県十和田市の「十和田観光ホテル」が5月22日に青森地裁十和田支部から破産開始決定を受けた。また、佐賀県鳥栖市の「鳥栖観光開発」は5月26日、債権者から大阪地裁に会社更生法の適用を申し立てられ保全命令を受けた。

 開花亭の破産管財人は黒田法律事務所の黒田外来彦弁護士。負債総額は債権者149名に対して10億7244万円。TSRによると、開花亭は明治末創業で、皇族や文人、墨客の宿泊先として高い知名度があった。好調だった1997年1月期や1998年1月期には売上高約7億円をあげていたが、その後は景気低迷による個人消費の減少に加え、芦原温泉自体の集客力低下なども影響。業績が後退し、経営が悪化した。

 2009年4月には社有及び代表者所有不動産の大半があわら市に差し押さえられ、2010年12月には福井県信用保証協会が借入金の一部の代位弁済をおこなった。また、2011年3月に発生した東日本大震災により、客足は減少し、2012年1月期の売上高は約2億円に落ち込んだ。このほか、2012年3月には食中毒事件が発生し、福井県坂井健康福祉センターから館内の飲食部門について3日間の営業停止処分を受けた。その後、代表社員の体調不良などで事業継続が困難となり、2013年4月1日付けで事業を停止し、法的整理の準備を進めていたという。

 十和田観光ホテルの破産管財人には澤口法律事務所の澤口英司弁護士が選任。負債総額は債権者41名に対して約9億円。同ホテルは大正7年創業で、十和田湖畔の休屋地区の中心部に位置する。湖を臨むロケーションから観光客に人気を博し、1992年2月期には約8億1500万円の売上高を計上した。しかし、観光客の減少、競合激化や施設老朽化から徐々に顧客離れが進み、売上は減少。2011年2月期には売上高が約1億5000万円まで落ち込んだ。

 2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、観光客はさらに激減し、2012年2月頃には休業を公表。その後、事業再開を模索したが、再開のめどが立たず今回の措置になったという。

 鳥栖観光開発の保全管理人には木村圭二郎弁護士が選任。負債総額は約39億4300万円。同社は鳥栖商工センターと鳥栖市が中心となり、鳥栖市初のシティホテル建設計画が持ち上がったことで設立。1993年8月には総工費35億円をかけ、宴会場や結婚式場などの施設を備えた「ホテルビアントス」をオープン。ビジネス客を中心とした宿泊客を集め、1998年9月期には売上高約8億3400万円となった。

 しかし、2002年には近隣に新しくできたビジネスホテルとの競合が始まったほか、少子化やジミ婚ブームなどによる結婚式部門の落ち込みにより、2013年9月期の売上高は約3億円にとどまった。収益も改善せず、同期末の債務超過は6億5500万円まで増加。金融機関への借入返済も困難となり、金融債権はサービサーに売却され、2013年10月には所有不動産に鳥栖市を債権者とする差し押えが登記されるなど資金繰りは逼迫していた。