ドイツ、日独間路線拡大に期待、新たな切り口の商品造成を-GTM2014

  • 2014年5月29日

GTM2014会場の中央に設けられたGNTBブース 今年で40回目となるジャーマン・トラベル・マート2014(GTM2014)が5月11日から13日にかけて、ドイツ北部の都市ブレーメンで開催された。好調なドイツへの旅行需要を受けて、多くのセラーとバイヤーが集まり、活気あるワークショップがおこなわれた。ドイツ観光局(GNTB)は、今後のプロモーション戦略を発表。持続可能な旅行産業への成長に向けて、さらに海外マーケットの開拓に乗り出す姿勢を示した。

日独間の路線拡大に期待感、供給過多の懸念も
新デスティネーション開発を

GTM2014はドイツらしくオーケストラの演奏で開幕 ドイツのインバウンド市場は好調に推移しており、GNTBの発表によると、2013年の外国人宿泊数は4年連続で前年を上回る7190万泊。初めて7000万泊の大台を超えた。このうち、日本人宿泊数は前年比1.3%減の130万泊。中国、アラブ諸国を含むアジアからの旅行者のシェアが急増する中で、その存在感は相対的に下がっているものの、成熟市場として安定した数字を残している。

 今年は、羽田国際線発着枠の増加に伴い、日本/ドイツの航空ネットワークが拡大。日本市場にとって新たな局面を迎えている。全日空(NH)とルフトハンザ・ドイツ航空(LH)の路線開設により、東京/ドイツ線は1日7便に拡大。また、LHは7月21日から成田/関空/フランクフルト線を成田と関空からの直行便に切り替え、中部を含めた日本5路線を全て直行便にする。

GNTBアジア・オーストラリア地区統括局長のペーター・ブルーメンシュテンゲル氏 GNTBアジア・オーストラリア地区統括局長のペーター・ブルーメンシュテンゲル氏は弊誌とのインタビューのなかで「特に羽田からの路線は、地方需要の取り込みにとって重要」と話し、路線網拡大に期待感を示すが、供給過多の心配も否めない。GTMに参加したある旅行会社は、「レジャーでこの供給を埋めていくのは大変。特に今夏以降の需要に懸念があり、価格が下がる気配がある」と明かす。

 一方で、新しいデスティネーションの開発に向けても動いているようだ。たとえば、NHが新たに開設した成田/デュッセルドルフ線に注目が集まっている。デュッセルドルフは多くの日本企業が進出している都市でビジネス需要が多いと期待されているが、レジャーでも潜在性は高いと見ている旅行会社もある。ドイツ中部のデュッセルドルフは、ドイツ国内のみならずオランダやベルギーへのアクセスもいいことから、新たな周遊コースへのゲートウェイとしても利用価値は高いという。

 現在、日本市場の需要は、ノイシュバンシュタイン城やロマンチック街道など南ドイツに偏る傾向が依然としてある。ブルーメンシュテンゲル氏も、その点を商品造成上の問題と指摘し、「マーケット拡大のためには、新しいデスティネーションを開発していく必要がある」と強調する。また、需要偏向について、消費者マインドの問題も言及。「日本では、特に若者の間では、ロマンチック街道に行きたいからではなく、そこが安全だから旅行先として選ぶ傾向がある」と話し、安全性に対して過敏すぎるマインドを変えていく必要性も説く。「ロマンチック街道だけでなく、ドイツのどこを旅しても、安全性には気づくはず」としたうえで、「旅行会社も消費者のマインドに乗るのではなく、本当に消費者が求めているニーズを汲み取る必要がある」と付け加えた。