空き物件に宿泊、農家民泊の「とまれる」とエイブルが提携
農家民泊事業などを展開する「とまれる」は5月22日、今秋以降に開始予定の旅行者向けマッチングサービス「TOMARERU~日常を旅しよう!~」において、エイブルと業務提携すると発表した。とまれる代表取締役の三口聡之介氏は提携により、サービス開始時点で1000件の宿泊先登録を目標とし、2015年3月末までに登録件数3000件、売上高2億円をめざす考えを示した。
TOMARERUはアベノミクス成長戦略の「国家戦略特別区域法」の旅館業法適用除外を活用し、特別区内で賃貸の空き物件を提供するオーナーと旅行者のマッチングをおこなうサービス。現行の法体制では、宿泊料を受け取り空室を貸す契約を結ぶ場合は旅館業法の対象となり、フロントを設置するなどの条件を満たす必要がある。ただし国家戦略特別区域では、7泊から10泊以上の滞在で、広さ25平方メートル以上でバストイレ・冷暖房があるなど訪日外国人の滞在に適した施設であることといった一定の条件を満たす物件は旅館業法の適用除外となる。TOMARERUでは同制度を活用する計画で、訪日外国人を主なターゲットに日本語と英語でサービスを展開していく。
とまれるの親会社で観光関連サイトなどを運営する百戦錬磨代表取締役の上山康博氏は「ネットを活用した民泊の予約マッチングサイトは海外で先行事例が増えており、事業そのものは急激な伸びを示している」とした上で、「今後日本においても同じような市場となっていくのではないか」と期待を示した。
上山氏は、東京のホテルの稼働率は90%に近く、訪日外国人が同一宿泊施設で長期滞在することが困難であるとし、TOMARERUで連泊や長期滞在需要に応えていきたい考えを示した。さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の宿泊施設不足の可能性についても言及。「ピークをいかに補うか、民泊サービスは非常に有効なソリューションになるのでは」とした。今後は日本政府観光局(JNTO)と協力し海外での情報提供を実施していく。このほか、出張需要など日本人の長期滞在のニーズにも対応していく予定だ。
また、同氏は旅館やホテルなど宿泊施設との関係性についても触れ「新たなライバルができる、居住用マンションがホテルとなって需要の喰い合いするのではという危惧もあるだろう」としながらも、競合するのではなく「むしろおもてなしサービスのプロである宿泊施設の皆様にこそとまれるを活用して欲しい」と述べた。例えば繁忙期に近隣の賃貸マンションを借りてコンドミニアムとし、長期滞在先として提供することで部屋の供給量を増やせるのではと提案した。
TOMARERUでは、国家戦略特別区域である東京都9区や千葉県成田市、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県でサービスを展開。エイブルは対象地域に約12万件の管理物件を有しており、管理物件のオーナーにサービス登録を呼びかける。また、TOMARERUでも個人の物件オーナーに対して働きかけをおこなう。
物件オーナーに対しては、旅館業法適用除外の認定条件となる家具や寝具、食品類、キッチン用品などのレンタル、鍵の管理や使用前後のクリーニング、メンテナンスなどのサポートを実施。コールセンターも設置する。なお、コールセンターでは予約時及び滞在中の宿泊者の要望にも対応していく。
物件オーナーのサイトへの物件掲載は無料。予約が決定次第、手数料を収受する。三口氏によると宿泊者からの利用手数料と合わせ、宿泊料の10%から15%を自社の利益とする見込みだ。