JATA、「旅行安全マネジメント」の重点項目発表、3ヶ年で徹底へ
日本旅行業協会(JATA)は4月23日の定例記者会見で、「旅行安全マネジメント」の構築に向けた今後の重点実施項目3点を発表した。「安全管理責任者」の任命率向上、「旅の安全の日」における模擬訓練の定着、「旅行安全マネジメント自主点検リスト」の活用について、いずれも3ヶ年計画で実施率100%をめざす。
JATAは昨年、旅行の安全確保のための組織的なマネジメント体制の確立に向け、「観光危機管理における組織的マネジメントのあり方」と題した提言を作成し、観光庁に提出したところ。提言では、会員会社のツアーの危機管理体制を確実なものとするため、具体的な行動指針として「旅行安全マネジメント」の構築と浸透を提起。旅行会社の代表者や代表者が指名する役員が安全管理責任者に就き、トップから現場までが一丸となって安全確保体制の構築をめざすとともに、安全確保に関する計画策定(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、改善(Act)をおこなうPDCAサイクルを実践することが必要になるとした。
今回発表した重点実施項目のうち、安全管理責任者については会員各社に早期の任命を促す。責任者は旅行安全マネジメントの推進の要として、安全基本方針や重点施策の策定、社内のコミュニケーション確保、PDCAサイクルの導入と有効活用などを推進することとした。
旅の安全の日については、内閣府が創設した「国民安全の日」でもある毎年7月1日に制定。夏休みシーズンを控えたこの日に、大地震などの自然災害を想定した模擬訓練の実施をおこなうことを各社に求める。模擬訓練では、安全管理責任者の責務や緊急連絡網などの確認を実施。一般消費者に向けては、旅の安全の日の前後において業界の取り組みをアピールするとともに、旅行保険への加入などを促す考えだ。
旅行安全マネジメント自主点検リストについては、体制整備や計画策定、内部チェック、危険情報の伝達などに関する21項目で構成したリストをJATAが策定したところ。リストをもとに、各社が毎年12月に自主的な内部点検を実施することで、安全管理体制の改善に活かす。
JATAではゴールデンウィーク明けにも、会員各社に対して安全管理責任者の任命状況と、模擬訓練の実施予定に関するアンケートを実施する予定。来年3月における取り組み状況と比較することで、1年間の進捗状況をチェックしたい考えだ。JATA海外旅行推進部担当副部長の沖野三郎氏は、1年後の安全管理責任者の任命率について、第1種旅行業では50%、第2種、第3種では40%をそれぞれ目標としたい考えを示した。