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ハワイ、事前入国に期待-200万人に向け課題の洗い出しも

  • 2013年11月25日

JHTC会合の様子 日本旅行業協会(JATA)とハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)が11月25日に開催した日本ハワイ観光協議会(JHTC)の年次会合で、本誌取材に応じたHTAヴァイス・プレジデントのデイビッド・内山氏は、コナ線の復活と日本国内での事前入国制度「プレクリアランス」の実現への期待を語った。

 コナ線についてはハワイアン航空(HA)が、アメリカン航空(AA)のニューヨーク線撤退で空く発着枠を使用して就航したいと米国運輸省(DOT)に申請しているところ。この発着枠はユナイテッド航空(UA)もサンフランシスコ線を申請しており、DOTの判断はまだ下されていないが、内山氏によるとその他の選択肢を含めて2014年中には復便が期待できるという。

 また、プレクリアランスは国家間の調整が必要なため時間がかかる見通しだが、粘り強く活動を続けていく考え。内山氏は「仮に10年の時間が必要だとしてもすでに3年間を費やしている。あと5年から7年程度はかかると思うが、可能性はとても大きい」と説明。このほど駐日米大使にキャロライン・ケネディ氏が就任したことも追い風として期待できるとした。なお、実現する場合、ハワイ州をモデルケースとして他州に拡大していく可能性がある。


▽JHTC会合、「ファーストタイマー」「隣島/地方市場」「MICE」で議論

 JHTCは2008年1月に当時の「日本ハワイ経済協議会」について観光分野に特化してJATAとHTAが立ち上げた組織で、双方の関係者が集まって日本からハワイへの訪問者増に向けた方策を議論するねらい。今回の会合では、「ファーストタイマー」「隣島/地方市場」「MICE」の3本柱について、分科会ごとに意見を交わした。

 このうち、ファーストタイマーの分科会では、「自らの意思ではなく連れて行かれるファーストタイマー」に着目して、「連れて行く理由」をいかに作るかや、旅行業界内のファンをどのように増やすかといった議論を展開。この中で、修学旅行の可能性や、旅行検討時における他のデスティネーションとの比較について幅広い調査の必要性が指摘されたほか、業界向け教育プログラム受講へのインセンティブや、FAMツアーの拡充、優待情報の一元化にも要望があがった。

 また、隣島と地方市場のうち、地方市場についてはチャーターの活用や、地方ごとの特性に合わせた営業の必要性などを指摘。FAMツアーによる旅行会社従業員の教育も求められたという。一方、隣島については長年の懸案であるインターアイランドの座席増が引き続き課題とされ、JHTC、JATA、HTAなど各者が働きかけていくことが重要との結論に。逆に、座席が増えれば新しい旅行、観光を実現可能、といった説得材料を業界側が用意していくことも必要とした。

 MICEでは、ボトルネックとなるCIQの問題解決策であるプレクリアランスについて、日本側としても指をくわえて待っているだけでなく、「日本政府などに要請していく努力をすべき」(分科会を取りまとめたJTB国際部長の古澤徹氏)と決議。また、旅行会社の従業員側の人数と能力の減少・低下については教育プログラムの強化が求められたほか、他のデスティネーションがMICE誘致に様々なインセンティブを設ける中で、ハワイ販売のモチベーションが必要との声もあったという。

 HTA内山氏は、会合を振り返って「消費者がハワイに何を求めているのかが分かった」と語り、さらに「他デスティネーションとの競合の実情と、その中で我々が何をすべきかを理解できた」と評価。例えば修学旅行について現地での交流プログラムなどを充実するなど取り組む方針を示したほか、MICEなどのインセンティブについても透明性の確保が課題となるものの、何らかの形でサポートを実施したいと語った。

 また、JATA事務局長の越智良典氏は総括として、「ハワイは永遠のデスティネーション」であると強調し、その上で市場環境が大きく変化してきているものの、海外旅行の自由化から約50年間でハワイが果たしてきた役割は不変であると指摘。その上で、2014年の海外旅行自由化50周年を契機として、日本からハワイへの旅行の更なる成長に向けて「知恵を出し合い、今日決めたことを具体的に進めていこう」と呼びかけた。