欧州で日本の旅程保証と取消料を問題視、制度見直しに期待
10月6日から10日にかけて、スイスで日本旅行業協会(JATA)と欧州のツアーオペレーターの団体(ETOA、欧州ツアーオペレーター協会)による会合が開催され、欧州側から日本の旅行業法などで定められた旅程保証や取消料の規定の改善について要望が上がった。欧州として日本を重要な市場と認めつつ、特にホテルにとっては取引の自由度が低く収益性も悪くなることから、中国など他市場、あるいはオンラインでの流通にシフトする可能性が指摘された。
会合は「ETOA Tourism Summit in the Alps 2013」と題されたもの。欧州側が、欧州全体として全世界の市場をどのように位置づけるかを考察する中で、日本や米国など長距離の成熟市場についても再検討する動きとなり、JATAに参加の依頼があった。
欧州側としては、日本人旅行者が2000年頃を境に減少してきているものの、日本市場は旅行者の消費額や旅先での振る舞いなどで非常に重要であるとの認識で、旅行者数を往時のレベルに回復したいと願っているという。
しかし、会合でトラベルコーポレーション社長のフェネラ・ビショップ氏は、「長年に渡ってホテル側は日本の旅行業法を受け入れ、客室を安いレートでブロックしてきた。しかし、インターネットなど他の流通チャンネルが出現したことで、彼らは欧州の法律にそぐわないような法律に固執する必要はなくなった」と強調。ETOAも、会議後の報道発表文のタイトルを「旅行業界は日本の旅行業法改正を求める」とし、旅程保証の非合理性、取消料規定の問題点などを指摘している。
JATAによると、JATAからはミキ・ツーリスト代表取締役社長の檀原徹典氏らが参加。こうした欧州側の主張に対して、チーム・ヨーロッパでの活動を紹介したほか、旅行業法関連では、「日本側も規制が厳しすぎるので緩和の取り組みを議論している。法律であるため、改正には2年から3年はかかる」旨を説明したという。
旅行業法関連では、観光庁が主体となって今後の旅行産業のあり方、現行諸制度の見直しの方向性、旅行業の組織的な安全マネジメントの構築などを検討する「旅行産業研究会」が始まったところ。ETOAでは、この中でJATAが用いることのできるレポートを作成し提供することを決めている。
なお、ETOAは11月4日から7日にかけてロンドンで開催されるWTM(ワールド・トラベル・マーケット)でも、日本市場をテーマとしてセッションをおこなうことを決定。JATAからも旅博推進室の澤邊宏氏が参加し、プレゼンテーションとパネルディスカッションで登壇する予定だ。