業法など見直し着手-観光庁、旅行産業研究会を初開催
観光庁は9月30日、第1回旅行産業研究会を開催した。これは、今年4月にとりまとめられた「観光産業政策検討会提言」に基づき開催したもので、今後の旅行産業のあり方、現行諸制度の見直しの方向性、旅行業の組織的な安全マネジメントの構築などについて検討をおこなうというもの。座長は一橋大学大学院商学研究科教授の山内弘隆氏がつとめる。
第1回会議の冒頭、挨拶に立った観光産業課長の石原大氏は、提言を「観光産業に関する危機感から取りまとめた」と説明。研究会で幅広く議論することで「10年先を見据えた処方箋を考えていければ」と参加者に呼びかけた。
石原氏によると、今回はテーマを絞らず、提言の課題の整理を実施。旅行業関連制度の見直しに関する議論が中心となったという。参加者からはインターネット経由の旅行取引が増加し、海外のオンライントラベルエージェント(OTA)との競争が激化する中、既存の法規制では同じ条件で競合できないとし、法制度の見直しを求める意見がだされた。特に自由に値付け可能なOTAに比べ、日本の旅行会社は手配旅行の区分に縛られているため手数料で利益を得るビジネスにならざるを得ないとし、規制緩和を要望する声があがったという。
また、標準旅行業約款の改正については、一部委員が取消料や旅程保証に関する問題点を指摘。旅行会社の選択やツアーに対する満足、不満足については消費者の自己責任という部分もあり、約款で一律で規制するのではなく、自由度を高めて消費者の選択肢を増やせれば、より市場のニーズに応えられる多様な商品の提供ができるようなるとの意見も出された。一方、消費者サイドの視点からは、改めて消費者保護の重要性を訴える場面も見られた。
このほか、着地型観光に関する話もなされ、着地型観光は旅行業法だけの問題ではなく、道路運送法や食品安全法などさまざまな諸制度と関係があると指摘があがったという。
今後は2013年度末まで7回程度研究会を開催し、テーマごとに掘り下げた議論をおこなっていく。議論を踏まえ、今年度中にそれぞれの課題に対する方向性を取りまとめる予定だ。今後のテーマについては現在のところ未定としている。
なお、委員の一覧は次ページの通り。