トップインタビュー:楽天トラベル代表取締役社長の山本考伸氏
国内を力点に、“海外to海外”で勝負
旅行市場「まだまだ伸びる」
楽天トラベル代表取締役社長に今年6月、山本考伸氏が就任した。山本氏は1975年生まれの38歳。大学と大学院で情報工学を専攻し、MBAも取得。情報通信やIT企業での勤務のほか、エクスペディアジャパンのプロダクトマネジメントディレクター、トリップアドバイザー代表取締役を経て今年3月に楽天トラベルに常務執行役員として入社。4月には楽天の執行役員に就任していた。情報流通とオンライン旅行ビジネスの経験が豊富な若いリーダーは、「旅行市場の天井はまだ見えていない」とポジティブな未来を見通す。楽天トラベルのみならず、旅行業界を担う一人となる山本氏に、今後の同社の方針と業界展望をきいた。(聞き手:トラベルビジョン代表取締役社長・岡田直樹)
-まずは、社長に就任された今のお気持ちと抱負をお聞かせください
山本考伸氏(以下敬称略) 弊社には素晴らしいサービスがあるが、まだまだできることはあると思っている。大きな責任に対するやりがいとともに、その分プレッシャーを感じてひるみそうになる時もあるが、それを期待感が上回っているところ。まだ入社して4ヶ月半なので、今は宿泊施設の皆様やスタッフと話をすることに時間を割いている。いい意味での驚き、発見が多く、とても良い経験をさせてもらっている。
-国内、アウトバウンド、インバウンドそれぞれの戦略は
山本 弊社の成り立ちから見ても、ビジネスの大部分は国内旅行。その次にアウトバウンド、インバウンドがあるが、中長期的な戦略としては“海外to海外”を広げていく。
海外におけるインバウンド(編集部注:各国での受け入れ事業)はそれ自体も目的だが、海外市場で我々の足がかりを作っていく手段のひとつだと認識している。アウトバウンドで培ってきた海外の仕入れ力は平均点以上のいいものがあり、国内の仕入れは世界のどの旅行会社と比べてもナンバー1になりえると思っている。この2つをキーに海外のマーケットに打って出たい。
海外市場での弊社の強みは、施設数でも消費者の数でもブランド力でもない。一番の売りになるのは、国内でのサービスモデルだ。宿泊施設と共にブランディングやマーケティングをしていく弊社のモデルは、海外の企業にもないものだと自負している。現在の主戦場である国内のビジネスを伸ばしていくことが、海外でのプレゼンスを強めるキーになると認識しており、私自身の時間の多くを国内のビジネスに割いている。楽天トラベルの取り扱いのうち、日本人より外国人の方が多くなるのも、時期を明言するのは難しいがそれほど遠くないと意識している。ただし、日本人を減らすというのではない。日本人の取り扱いを増やしながら、外国人も増やしていきたいと考えている。
国内については、マーケットが伸びないという主張がマスメディアで散見されるが、オンラインに限らず旅行の国内需要に陰りは見えておらず、弊社も2ケタ成長を続けている。もっとアクセル踏んで増やしていける余地はあり、まだ市場の天井は見えていないと思っている。