トップインタビュー:楽天トラベル代表取締役社長の山本考伸氏

  • 2013年9月5日

国内を力点に、“海外to海外”で勝負
旅行市場「まだまだ伸びる」

-御社の最大の強みには何ですか

山本 宿泊施設との関係に加え、その中で得たノウハウが我々の強み。宿泊施設は弊社のプラットフォームを使ってインターネット上でアピールするが、そのアドバイスをするチームワークが一番の強みだと思っている。宿泊施設向けの営業スタッフを、我々は「コンサルタント(インターネットトラベルコンサルタント:ITC)」と呼び、宿泊施設と一緒にプロモーションやサイト運営をおこなっている。

 ITCは現在、日本で200名、海外は全部で100名弱が活躍している。宿泊施設のマーケティング手法と成果を表彰する各種アワードも用意しており、これは担当のITCにとっても励みになっている。

 また、ITCはグループの戦略にもマッチしている。例えば地方の小規模の旅館を伸ばした経験の豊富なITCを、海外の施設の担当にすることもできる。強みであるサービスモデルを実現する人的リソースを海外でも生かせるのは、社内のグローバル化、英語化の恩恵であり、これも大きな強みだと思っている。もちろん、海外で一流の仕入れをするには現地の旅行業界に詳しいリソースも必要なので、タッグでチームを作っていく。


-年内に親会社に吸収合併される予定とのことですが、その目的を教えてください

山本 楽天トラベルは楽天の連結子会社の1つで、楽天とは別会社だが、利用者には楽天グループのトラベルサービスであると認識されているように思う。また、楽天スーパーポイントの経済圏にあり予約の際にポイントを使用したり、貯めることができる。楽天トラベルの訪問者へのクロスプロモーションはすでにおこなっているが、会社という法的な枠組みを取り除くことで、より一枚岩で展開していくことができるようになる。

 社内的には、旅館のITCをショップオーナーのコンサルタントにするなどの知識共有もしやすくなり、意識の壁を取り除く効果もねらっている。吸収合併で楽天グループのサービスを使っているというシナジーを消費者側・社内側からも提供しやすくしたい。


-今後、優先的に取り組んでいくことは

山本 どれも最優先事項だが、ひとつはサイト開発のスピード化だ。A/Bテストやアンケートなどでユーザーの反応を見ながら、テンポ良くサイトを改善していきたい。

 中期的には、サイトコンテンツの拡充をはかる。今までの予約サイトは、旅行の目的を持つ人が簡単に予約できるサイトになっているが、これを誰もが見ているだけで楽しくなる旅行サイトにしたい。テレビの旅行番組のようにふらっと見ていたら旅行に行きたくなったというような、潜在的な需要を顕在化するサービスを提供したいと考えている。

 その中で弊社がキャンペーンを張り、関連のある宿泊施設にもコンテンツを作っていただけると、そのエリアを盛り上げることができる。このような連鎖があると、旅行に行く人が今よりも増えていくのではないか。