オーストラリア50万人復活へ、TAと各州の動き-ATEレポート(2)
各州、地域性を生かし日本人誘客で様々な工夫
▽NT準州、トップエンドもアピール、TAS州、ハイエンドに焦点、SA州、カンガルー島での一泊を
2012年のノーザンテリトリー準州(NT)への日本人訪問者数は約2万6000人。昨年9月にはケアンズ/エアーズロック線が減便し、ジェットスターの欠航もあったため、ノーザンテリトリー政府観光局日本事務所トラベルトレードマーケティング・ディレクターの中村滋氏は「ウルルへの航空事情が悪くなっているのが心配」と懸念を示す。
一方で、シドニー経由の販路を広げていきたいとの意向を示し、「今後はシドニー/エアーズロック/ケアンズ線の利用も可能性があるだろう」と話す。マーケテイング方針としては、ウルルに加えて、トップエンドのアピールを強めていきたい考え。ターゲットをハナコ世代、シニア、ハネムーンナーとし、カカドゥ国立公園での1泊を勧めていく。
タスマニア州(TAS)への日本人訪問者数は他州と比べると少ないが、ハイエンド旅行者が主流になっており、大手旅行会社のパッケージ料金も40万円から60万円と高額。タスマニア州政府観光局日本地区局長のアダム・パイク氏は「安いと逆に売れない」とタスマニアの特徴を説明する。今後も、訪問者数ではなく55歳以上のハイエンドマーケットでの訴求を強めていきたい考え。また、昨年タスマニア原生地域が世界遺産登録30周年を迎えたことから、今年も引き続き焦点を当て、マーケットでの認知度を上げていく方針だ。
南オーストラリア州(SA)の2012年の実績は、パッケージはダウンしたものの、主要マーケットである教育旅行は維持したという。同州政府観光局東半球担当シニアマネージャーのマイケル・シリガー氏は、日本人に人気のカンガルー島について、「現在はアデレードをベースとしたデイトリップが主流だが、今後は島での1泊をアピールしていく」との方針を示す。また、国際市場で人気が高まっているエア半島を日本市場でも売り込みたい考えだ。