オーストラリア50万人復活へ、TAと各州の動き-ATEレポート(2)
各州、地域性を生かし日本人誘客で様々な工夫
各州政府観光局(STO)および各地域観光局(RTO)とも日本市場へのアプローチを強めている。2012年のオーストラリアへの日本人渡航者数は約35万人だったが、50万人市場に復活する潜在力はあるとの声も多い。それぞれの取り組みについてATE会場で話しを聞いた。なお、来年のATE2014は5月にケアンズで開催される。
▽QLD州、日本市場拡大に向けてプロモ強化
日本最大の市場であるクィーンズランド州(QLD)でも、日本人旅行者誘致に向けて新しい取り組みを始めている。トロピカル・ノース・クィーンズランド観光局(TTNQ)では、4月から6月を「ベスト・シーズン・ケアンズ」としてキャンペーンを展開。TTNQ日本ディレクターの新堀治彦氏は「4月から6月はオフシーズンと考えられているが、実は気候がいい季節で過ごしやすい。主にシニアをターゲットに誘客を進めていきたい」と話す。また、現在ジェットスター航空(JQ)が夏期限定で運航している関空/ケアンズ線の通年化を戦略のひとつとして掲げる。こうした取り組みを通じて、ビジョンケアンズの目標である2015年に日本人訪問者20万人を達成したい考えだ。
ゴールドコースト観光局では、ゴールドコーストをコアラキャピタルとし、コアラをフューチャーしたプロモーションを展開。新たにゆるキャラ「ビリー」をつくり、ゴールドコースト空港で日本人旅行者の出迎え、フェイスブックを利用したフォトコンテストなどを実施している。また、今年6月13日からはゴールドコーストのブランドを高める目的でデジタル絵本のアップを開始する。日本地区マーケティングマネージャーの小林芳美氏は2012年6万5000人だった日本人訪問者数を「10万人まで戻したい」と意欲を示す。
また、ハミルトン・アイルランドでは、昨年10月から12月の札幌からの旅行者数が前年比で倍増した。イースタンマーケット・セールズ&オペレーションズ・マネージャーの林田第三郎氏は「昨年から札幌でも始めた『エアーズロック&ハミルトン島セミナー』の効果が大きい」と話す。今年も7月と8月に福岡、名古屋、東京、大阪、札幌で開催。400名の参加を見込んでいるという。現在の同島への日本人旅行者数はバッケージ7割、残りの3割がFITやオンライン直販、OTA経由での予約。2012年7月から2013年3月の実績では前年同期比で21%増と好調だ。
クィーンズランド州政府観光局日本代表の西澤利明氏は今後の日本市場の見通しについて、「航空座席の供給量や円安の懸念があるが、日本経済が回復の兆しを見せており、長期的には期待がもてる」と話す。一方で、「これまでとは違うインフラを作るべき。見せ方や企画力を工夫して、オーストラリアの発信力を高めていく必要がある」と提言。50万人市場への復活に向けてやるべきことは多いとの見解を示した。