LCCも旅行会社が不可欠、相互利益の追求を商機に-JATA経営フォーラム
日本市場では旅行会社の流通が必要
ではこの環境下で、日系LCCと旅行会社はどのように提携を進めているだろうか。
エアアジア・ジャパン(JW)代表取締役兼CFOの内山正明氏によると、当初の販売チャネルは自社ホームページの1つだったが、現在はオンラインではエクスペディア、オフラインではコールセンター、カウンター、アマデウス(GDS)、さらに今年からビッグホリデーでの販売も開始した。「在庫を持たないのがLCCのビジネスモデルだが、日本は規制が強いため、価格でロードファクターを上げることができないのであれば、他の埋め方を考える」とし、「日本のマーケットを見ながら柔軟にシフトしていく必要がある」という。
ビッグホリデーではバススキー旅行で年間約40万人扱っており、そこに卒業旅行や就職活動の利用を見込み、1万円程度の価格で設定。JWの利用者うち、10代は5%だが、ビッグホリデーでの購入に限ると10代は16%に拡大し、「需要を生み出すことができた」という。この結果、ロードファクターは上り線が83%、下り線が73%に改善し、「LCCらしいところにたどりつけた」。旅行会社での販売比率は「まだ数%」と小さいものの、「ロードファクターを5、6%押し上げていると思う」と効果を示唆する。
一方、グループとして日本市場の参入が早かったジェットスター・ジャパン(GK)では、「旅行会社経由の販売は25%」(常務執行役員の西尾忠男氏)。10名以上のグループ運賃やIT運賃があり、システムリンクをすれば利用できるという。ただし現在のところ、ジェイティービー(JTB)やエイチ・アイ・エス(HIS)など数社にとどまっている。システムマニュアルが英語である上、セールス担当者が6名に限られており、西尾氏も「ネックはシステムリンク」と認識している。
西尾氏はこれまでの販売状況から、旅行会社の販売では「キーワードは『すきま』『まぎわ』」と提案。例えば、「北海道日帰り買出し旅行」など新しい商品が誕生しているという。また、GKの利用者のうち2、3割は航空機の初心者だといい、「初めて航空機を利用する際のホテルやランドアクティビティなど、いままで航空機の旅行をしなかった人の市場は隙間のひとつといえる」という。また、「アジアから訪日客がどんどん入ってくる。訪日のFITもビジネスチャンス」といい、「LCCを新市場の取り込みに使ってほしい」と提案した。