LCCも旅行会社が不可欠、相互利益の追求を商機に-JATA経営フォーラム
悩みどころに商機あり
意識改革で新しい関係構築を
日本旅行業協会(JATA)航空・空港問題検討部会の清水直樹氏は3者の話を受け、旅行業界側から「アジア太平洋全体で市場を認識する必要性」「旅行会社とLCCとのビジネスモデルの差異」「LCCの進化・変化を見定めていく必要性」の3点を提示。このうち、ビジネスモデルについては、「航空座席を消費材として提供するLCCと、生産材として仕入れ、加工して提供する旅行会社では、取引にかなり無理があるだろう」と率直な意見を呈した。
ただし、「旅行会社と関係構築を進めるLCCとそうでないLCCがある」とし、「組めるところとは積極的に組んでいく。今のビジネスモデルに当てはめるのではなく、新しいものを作っていくべき」との認識も示した。
JW内山氏は「我々としてもできることとできないことはある。やり方をごり押しする考えはないが、旅行会社ももう少しシンプルに考える必要があるのではないか」としながらも、「例えば、キャッシュオンデリバリーに近い形の発券は日本市場ではかけ離れているので、歩み寄れるような調整はできるかと思う」と言及。
西尾氏も「我々はロードファクターを上げていくことが最大のミッション。やり方は日本支社にある程度の裁量が任されているので、それに向けてできる範囲でやっていきたい」と、相互の目標に向けて旅行会社と協調していく意向を示した。JW、GKともに路線拡充や増便を進めており、今以上にロードファクターを高める手段が必要になっている。
また、清水氏はLCCとの旅行会社の協調の可能性として、各社のピーアール文書に「地域経済への貢献」の文言が盛り込まれていることから、旅行会社との共通目標として着目。「ここに国の航空行政や空港施策を入れ、“四位一体”での取り組みを見出していくことが方向性のひとつ。旅行会社は需要掘り起こしの仕掛けは可能で、受地のビジネス開発を含めて取り組んでいける」との考えを披露した。
さらにターゲットとして、訪日FITの可能性や、LCCの展開として「ネットワークキャリアを組み込んだ新ビジネスモデルができる可能性もある」と期待を示し、「日本がLCCに見放されない市場になるべき。意識改革をして相互に成長していける仕組みを作っていきたい」と語った。