トップインタビュー:ハワイ州観光局(HTJ)代表 高畑エリック氏
旅行業界が一体感を持てたのが12年の最大の成果
13年はファーストタイマー、MICE、隣島強化でさらなる上積みめざす
-MICEについてもう少し詳しく
高畑 先ほども説明したが、基本的に10名以上のグループ旅行はすべてMICEと考える。たとえば観光目的でも10名以上のグループならMICEとして考える。日本の感覚でいえばMICEというよりグループ旅行と表現したほうがわかりやすいかもしれない。
MICEに関しては、すでにエンターテインメント系の反応が好調だ。芸能事務所などはタイアップ企画に対する反応も速い。芸能人がファンクラブ・ツアーを行なったり、芸能人自身がハワイを訪れたり、あるいはTV撮影が行なわれたりすると、レジャーやMICE市場全体への影響力が非常に大きい。これもエンターテインメント系需要の特徴だ。
-隣島強化については課題も多いと思います
高畑 インターアイランドの座席供給量は課題のひとつだ。現状ではハワイアン航空(HA)に過度に依存している面があるが、この点に関してはHTAも重視している。インターアイランドの座席供給増や、日本から隣島への直行便を含めて、HTAはさまざまな交渉をアイランド・エアー(WP)やGO!エアー(YV)、あるいは米国の他航空会社と行っている。
ハワイ島への直行便が復活できれば隣島需要は大きく動くはずだ。コナ線復活も期待は捨てていない。いきなりの直行便復活は難しいが、13年にチャーターで実績を積み、14年に定期便復活となれば理想的だ。残念ながらマウイ島については環境保護問題に関連して国際線の乗り入れができない。この状態は当分変わらないだろう。
関連で付け加えれば、CIQでのプレクリアランスの実現に向けて本格的に動いている。地元としてはハワイ出身のオバマ大統領が再選された今が最初で最後のチャンスとの覚悟で政府への働きかけをおこなっており、進捗があると聞いているので期待したい。
-ハワイのスペシャリスト養成のための「アロハ・プログラム」について説明してください
高畑 「アロハ・プログラム」の基本コンセプトは、ハワイのスペシャリスト養成ではあるが、ハワイ方面に関係する旅行業界、ハワイ好きな消費者、ハワイ関連のレストランやショップなどハワイ関係者をひとつにまとめる取り組みでもある。
しかも、それを楽しく、面白くおこなっていきたいというのがHTJの考えだ。幅広い意味でのデスティネーション・スペシャリストを育て、彼らを通じてハワイのメッセージを発信していくのがねらい。つまり情報発信のディストリビューションシステムとネット検定を兼ね合わせたマーケティング・ツールといえる。
検定に合格すればハワイ・スペシャリストの肩書を手に入れることができる。このスペシャリスト資格は保有者にとってもHTJにとってもメリットがある仕組みだ。たとえば旅行会社のスタッフがスペシャリストの資格を持つことで、有資格者が所属する旅行会社をHTJのサテライト・オフィスに位置付けることも構想している。そうすることで、HTJは限られた予算でも全国各地を幅広くカバーすることができるし、旅行会社側はHTJサテライト・オフィスとしてビジネスチャンスを拡大できる。
12月12日に「アロハ・プログラム」の専用サイトがソフトオープンし、まずは旅行業界向けの初級講座を開始した。中級・上級講座は13年3月くらいまでには開始し、4月には一般消費者やレストラン・ショップ関係者向けの初級講座を開設。その後、順次、中級・上級も開設していく計画だ。
-ありがとうございました