LCCを業務渡航に活用、コスト削減効果訴え-定時運航率など課題も
時間に余裕がある視察や研修に利用-有料サービスの活用も
こうした利点や課題を踏まえ、鳥海氏はLCCを業務渡航に使う場合、時間に余裕があり、LCCのスケジュールに合わせて現地の予定を調整できるケースでの利用を勧める。例として展示会や現地の工場視察、新入社員研修、企業研修などを提示。「旅行会社は(企業から)今後ますますコンサルティング能力が求められる」とし、LCCをFSC、新幹線や高速バスと並ぶ移動手段として考え、企業の方針にもよるものの、選択肢の一つとして提案することを提案した。
ちょうどLCC側から旅行会社への“歩み寄り”も見られているところで、MMではすでに数社の旅行会社と取引を開始。インターネット上で自社開発の旅行会社専用予約システムを提供している。今後も旅行会社と協力し、閑散期の穴埋めなどに取り組んでいく考えだ。
また、9Cも日本の旅行会社とイン、アウト双方の需要取り込みをめざす考えを表明。さらにJWも、航空券の販売はウェブでの直販やエクスペディアジャパン経由が主で、今後は状況をみながら検討していきたいとしたが、ビジネスフォーラム後の11月末にはアマデウスと流通契約を締結し、国際線、国内線ともにアマデウスの端末で予約を可能としている。
このほか、鳥海氏はLCCを活用するためには、利用者の負担を軽減するため、LCC各社が提供する有料の付加サービスを積極的に利用するべきと主張。あらかじめ受託手荷物、機内食、事前の座席指定もしくは優先搭乗の権利を付加すれば、利用者の利便性が高まり、例えば最前列や非常口付近の足元の広い座席を指定しても、FSCよりもコストはかからないという。
なお、LCC側からも業務渡航需要に対応しようとする動きも出ており、例えば9Cでは現状でも業務渡航利用が6割から7割。こうした中で、ビジネス向けに座席指定、荷物5キロ分、優先チェックインなどを付加した運賃を設定しており、今後も需要の取り込みをはかっていく考えだ。