LCCを業務渡航に活用、コスト削減効果訴え-定時運航率など課題も
日系LCC3社が就航するなどLCCへの注目が高まるなか、旅行会社もLCCの活用について検討を迫られている。現時点では、一部の旅行会社がツアーを造成するなどレジャー需要への取り組みが大部分で、業務渡航にLCCは適さないと捉えられがちだ。しかし、このほどアメリカン・エキスプレス・インターナショナルが開催したシンポジウムでは、航空アナリストで城西国際大学観光学部助手の鳥海高太朗氏が、「LCCは(出張を)企業に提案する際の新しい選択肢の1つとして活用していけばよいのでは」と提案した。LCC各社の幹部も登壇したシンポジウムから、業務渡航でのLCC利用の可能性を伝える。
・主催
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル法人事業部門
・モデレーター
航空アナリスト 城西国際大学観光学部助手
鳥海高太朗氏
・パネリスト
春秋航空(9C)日本地区総責任者
王煒氏
エアアジア・ジャパン(JW)元企画部長
現全日空(NH)アジア戦略室主席部員
浜出真氏
ピーチ・アビエーション(MM)ネットワークプランニング&レギュレーションマネージャー
廣瀬右左義氏
空席連動型運賃を活用、出張コスト削減へ
ビジネスフォーラムでは、はじめに鳥海氏がLCCを業務渡航で使う際にメリットとなり得る点を説明。まずはLCCの運賃体系で、その特徴である安さから企業の出張コスト削減のニーズに対応できることに加え、LCCは空席連動型運賃であるため、出発直前の購入でも空席が多ければ安価で購入でき、急な出張に活用できるという。例えば当日航空券を購入する場合、フルサービスキャリア(FSC)では普通運賃や往復割引運賃程度しか利用できず運賃が高額になるが、LCCは空席が多い便であれば安価で購入することが可能だ。
さらに鳥海氏は、LCCは片道利用が可能なため、往復で別の航空会社を利用できる点もメリットと指摘。LCC1社での往復購入がスケジュール面から難しい場合も、他のLCCやFSCと組み合わせて活用することができ、選択肢の幅が広がるという。さらに、LCCの中には本人名義以外のクレジットカードで決済可能な会社もあるといい、法人カード決済で出張者にEチケット控えやオンライン搭乗券を渡すなどもできると話した。
このほか、MMの廣瀬氏も運賃の安さが出張1回あたりの単価を下げるのに効果的であるとし、出張回数の増加とそれによる企業の成長が可能であるとコメント。また、9Cの王氏は、LCCの利用が企業内でコスト削減意識の醸成にもつながるとし、「LCCを活用した社内の意識改革もできるのでは」と述べた。