ハワイ、200万人実現に向けた課題-日本ハワイ観光協議会の議論から

ファーストタイマー、隣島、MICEの3テーマ
旅行会社の認知向上、コナ線復活が共通課題

JATAとHTAが200万人に向けたMOUを締結

 日本旅行業協会(JATA)とハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)は現地時間10月18日、2016年に日本人旅行者数200万人をめざす覚書(MOU)を交わした。JATAでは2016年の日本人出国者数の目標を2000万人に定めており、200万人はこの10分の1に相当する野心的な数値だ。日本の海外旅行の原点であり、現在も高い人気を誇るハワイだが、旅行者数が200万人を超えた1990年代後半と比べると旅行先の多様化など市場環境は変化している。ハワイに200万人を送客するために必要なものは何か、実現への道筋はどのように見出すか―。MOUの締結に先駆けて開催された日本ハワイ観光協議会(JHTC)での議論を中心に伝える。

▽ハワイの現状は「実力以下」-JATA海旅委・林田副委員長

 日本ハワイ観光協議会(JHTC)は2008年1月に当時の「日本ハワイ経済協議会」の後を受け、JATAとHTAが観光分野に特化して発足したもので、日本とハワイ双方の旅行業界関係者で構成する。会合は年1回の開催で、今年はホノルルに日本側からJATA、ハワイ州観光局(HTJ)、旅行会社、航空会社、ホテル、レンタカー、メディアなど25名、ハワイ側からはHTAのほか旅行会社や航空会社の現地社員、ホテル関係者など31名が集まった。

 会合では、午前中の第一部として日本とハワイそれぞれの立場からの発表により日本市場の総合的な現状について把握し、午後の第二部ではそれを踏まえた分科会をおこなった。

 第一部では、日本側の団長を務めたJATA海外旅行推進委員会副委員長の林田建夫氏と、HTAプレジデント兼CEOのマイク・マッカートニー氏の挨拶の後、JATA事務局長の長谷川和芳氏とHTAバイスプレジデント・ブランドマネジメントのデイビッド・内山氏がプレゼンテーションを実施した。

 4名にほぼ共通したのは、1964年の海外旅行自由化以降、日本からの旅行者が延べ約5000万人に達するハワイが日本市場にとって重要なデスティネーションであること、一方で、この15年間は旅行者数が減少し「実力以下」(林田氏)の状況であったことなど。また、この理由として、アジア圏の観光開発が進んだこと、経済的理由もあって安・近・短の傾向が強まったことなども指摘された。

 こうした現状の中で、長谷川氏からは高齢化、震災による「絆」意識の強まり、LCCへの対応の必要性などを指摘。一方、内山氏はショルダーシーズンの強化、隣島の需要増、ファーストタイマーの囲い込みをめざしたいと説明。また、今後の需要動向を左右する課題として、為替レート、市場の安定、燃油サーチャージの安定、コナ線の復活、LCCの参入、地方路線の増加、事前入国審査(プレクリアランス)、ブランドUSA予算の活用を列挙している。