インタビュー:ヴァージン・アトランティック航空日本支社長
羽田就航で「選択肢」提供
競争こそ消費者のメリットに
2014年3月末以降に、成田/ロンドン線の自社運航を取りやめ、羽田線への切り替えをめざすヴァージン・アトランティック航空(VS)。羽田への就航を計画する段階で成田からの撤退を表明したのはVSが初めてで、首都圏2空港のあり方を占う上でも注目が高まっている。この方針を固めた背景にはどのような考えがあったのか、日本市場の現状や競争環境も含めて、VS日本支社長のリチャード・マイヤースコウ氏に聞いた。
-羽田への就航と成田への自社運航中止を決められた理由をお聞かせください
リチャード・マイヤースコウ氏(以下、敬称略) 我々は、お客様に幅広い選択肢を提供することを最重視している。成田は価値のある、ハブとしても素晴らしい空港だが、同時に羽田も大変魅力的だ。それぞれ強みと弱みがある。
例えば成田は巨大な国際的ハブ空港であり、地域内路線の接続性も高く、無数の航空会社が就航している。LCCも伸びつつあり、素晴らしい空港だ。一方、羽田は大きな国内市場を抱えており、より立地条件が良い。
日英間の航空当局間協議で、(羽田に就航する場合は成田路線を維持しなければならないという)商業的な規制が課されたことには失望した。航空会社も空港も競争するべきであり、政府はそうさせなければならない。今でも不必要だったと考えている。今のところ、NHとの連携により成田路線を維持するという形で結論として落ち着いている。
羽田を選んだ理由は、VSは典型的なポイント・トゥ・ポイントの航空会社であり、お客様に最も良い選択肢を提供しようとした時に、全日空(NH)の国内線への接続を含めて羽田の方がより成功の可能性が高いと判断した。また、NHとのコードシェアで成田路線も維持でき、選択肢の幅も広がる。