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TUI会長、デジタル活用で顧客との関係強化を-JATA基調講演より

  • 2012年10月9日

世界ツーリズム協議会(WTTC)会長でTUI会長のマイケル・フレンゼル氏  JATA国際観光フォーラム2012の基調講演で、世界ツーリズム協議会(WTTC)会長で世界最大規模の旅行グループであるTUI会長のマイケル・フレンゼル氏は、「お客様こそが最終的に我々の成功を担っていることを忘れてはならない」と、顧客との関係を強化し、ニーズを確実に把握することの大切さを訴えた。2020年まで旅行業の成長は堅調に続くとの見通しだが、その一方で進むデジタル化や消費者のライフスタイルの多様化など、業界環境はさまざまに変化していく。フレンゼル氏の講演から、変化のなかで旅行会社が成長し、勝ち残るためのヒントを探る。


海外旅行者数は堅調に増加、2020年は13.6億人に
新興市場が成長を牽引

 フレンゼル氏は冒頭、2000年以降の全世界の旅行業界を振り返り、9.11やSARS、世界的な金融危機などの影響はあったが「旅行業の回復は早い。2020年まで堅調な成長が見込まれる」との見通しを示した。2000年の海外旅行者数は6億7400万人だったが、20年には13億6000万人に増加する見込み。年間成長率は4%で、旅行業は世界のGDPの9%を占め、3億8000人の雇用が見込めるという。

 日本については、旅行需要は東日本大震災で落ち込んだが「日本人のアウトバウンドは予想以上に早く回復しており、インバウンドも今年の前半に完全に戻った」と、回復の速さを評価。過去の危機を通して「旅行業界は危機に対処することを学んだ。お客様対応をしっかりできれば、未曾有の危機にも対応できる」と力強く語った。

 また、フレンゼル氏は「ツーリズムの焦点は成熟したヨーロッパから新興市場に移行している」といい、新興市場が今後の成長を牽引していくと展望を述べた。新興市場としてブラジル、ロシア、インド、中国をあげる。2011年から2016年の成長率は、ブラジルは3%、ロシアは7%、インドと中国は13%の2ケタ増と見通す。