アクセスランキング、LCC関連が5本、高速ツアーバス事故も

[総評] 今週は、1位のスターフライヤー(7G)を筆頭に、LCC関連の記事が5本もランクインしました。具体的にはタイトルに“LCC”の文字が入る3本と3位の春秋航空(9C)、9位のピーチ(MM)の5本で、この1週間に掲載した約60本の記事のうちLCC関連は7本のみですから、いかに関心が高いかが分かります。ちなみに、ランキング外となったのはチェジュ航空(7C)とエアプサン(BX)の記事で、これは韓国系LCCがすでに市場にある程度浸透し、受け入れられていることの表れかもしれません。

 さて、5本の記事のうち、7Gのものが最も注目されたわけですが、これはおそらくその内容の異色さからでしょう。MMやジェットスター・ジャパン(GK)、エアアジア・ジャパンなどLCCが時代の寵児のように取り上げられている中で、それをやめるとはどういうことか、とお読みいただいたのではないかと思います。

 7Gは以前(少なくとも4月までは)、“ハイブリッドLCC”をめざしていました。しかし、今回策定した中期経営計画ではこれを取り下げ、“ハイブリッド・エアライン”を標榜しています。理由は、「LCCというとイメージが悪い」からで、欠航や遅延が多そう、欠航しても何もしてくれなさそう、といった印象を嫌い、変更したわけです。

 ここで重要なのは、ハイブリッドLCCにせよハイブリッド・エアラインにせよ、“サービスを切り詰めて安くする”のではなく、“サービスを維持しつつ相対的に安くする”という7Gの基本姿勢には変わりがないということです。要するに、極端にいえば単なる“衣替え”です。

 批判的に書いているのではありません。以前より当欄でも指摘してきた通り、LCCという言葉は、ある意味で“衣”であり“レッテル”です。確かに、客室乗務員が機内を清掃するなどLCC特有のテクニックもありますが、ユニットコストを削減して運賃の競争力を向上するという取り組みは、LCCだけのものではないのです。

 今回の記事についてのTwitter上のつぶやきを見ますと、「(7Gは)もともとLCCではない」「LCCはめざすべきではない」といった内容が散見されます。しかし、LCCとされる航空会社の中でもサービスやプロダクトが多様化していますから、そもそもLCCとは何か、どういう航空会社なのかを明確に示すことはほとんど不可能であるはずです。「我々はLCCなのだ」と宣言すれば(ほぼ無条件に)広義のLCCにはなれるといえるでしょう。

 LCCという“衣”を着た時に、運賃が驚くほど安い、新しい時代の進歩的な航空会社といったイメージを持ってもらえるうちは良いのですが、ネガティブなイメージを持たれては困りますから着替えることになります。私は今回の7Gの決断はこうした意味を持つものと捉えており、ビジネスモデルの変更ではなくブランディング戦略の修正であると考えています。