現地レポート:ゴールドコースト、ビーチ以外の豊富な観光素材
実体験の感動が販売に生きる
魅力を認識し、幅広いマーケットへのアプローチを
若者に訴求する短い日程のツアーや
MICE誘致の可能性も
「今回は多くの人に参加してもらうため、きつい日程になってしまった」と柴田氏。しかし若手の参加者は、異なる捉え方をしたようだ。JQ便の東京発は午後8時25分。午後まで仕事をして空港へ駆けつければ、木曜日の夕方少しと金曜日の休暇をとるだけで、4日間のツアーに参加できる。この研修では、早朝6時25分にゴールドコーストに到着し、直接「カランビン自然保護区」へ向かった。しかし「体力的に辛くない」「行程が詰め込まれていた方が充実した気持ちがする」と参加者は口々にいう。これは、時差が1時間ということが大きいだろう。「会社に入ったばかりの20代は、まとまった休暇をとりにくい。むしろ短い日程のツアーのほうが喜ばれそうだ」と話し、JQの羽田就航を期待する人もいた。
観光地ならではのスムーズなオペレーションも、大きな利点のひとつだ。展望デッキ「スカイポイント」では、カフェを中心にぐるりと円形に広がるフロアの一部を貸し切り、軽食とコーヒーの簡単なレセプションが行なわれた。リクエストに応じてランチやティータイム、カクテルアワーなどにアレンジできる。夕暮れ時や夜景の眺望も、また格別の体験となりそうだ。
名門ゴルフコース「グレイズ・ゴルフクラブ」は、カクテルレセプションとブッフェ式のディナーパーティ会場となった。ゴルフクラブならではの簡単なゲームもできる。この夜は選抜された代表者が飛距離を競うドライビング・コンテストと出席者全員が参加できるパター・ゲームを実施。ディナータイムにはジャズバンドの演奏や女性ピエロによるジャグリングが行なわれた。これらはすべて、リクエストによりアレンジ可能だ。「ゴルフクラブは、ゴルフをする人にしか勧められないと思っていた」「これならゴルフをしない女性も楽しめる」と参加者。複数の参加者が、MICEの需要創出の可能性を口にした。
ディナーパーティに先立ち登壇した柴田氏は「今回の参加者は全員毎月10名、年間で合計4000名以上の送客をめざしてください」と発破をかけた。柴田氏によると、ゴールドコーストへの日本人訪問者数は、1997年頃の約25万人がピーク。現在は10万人強で横ばいが続いている。オーストラリア全体では2011年、約33万人にまで落ち込んだ。「昨年の東日本大震災からまもなく1年を迎える。旅行業界全体もそろそろ活気を取り戻さなければ」と柴田氏。今回の研修旅行の参加者が、それぞれの体験を持ち帰り、旅行客や同僚にその楽しさを波及させていくことが期待される。
取材:江藤詩文