小規模旅行業者の倒産、全体の8割、売上は年商10億円以下のみ減収
帝国データバンクが発表した「旅行業者の倒産動向調査」によると、2011年の旅行業者の倒産件数は前年比40%増の49件で、前年より14件増加した。このうち、東日本大震災関連の倒産は6件で、国内旅行の不振の影響がうかがえる。2000年以降では、SARSやイラク戦争の影響で増加した2003年の50件に次ぐ数値。また、原油高による燃油サーチャージの高騰や新型インフルエンザの流行、リーマンショックの影響などがあった2008年と2009年と同じ件数でもある。また、2011年全体の倒産件数は2.5%増であり、全体の倒産傾向に比べて旅行業の倒産が上回る結果となった。
零細企業の倒産は2000年以降最高
旅行業倒産の負債総額は51.5%減の26億1300万円。5億円以上の大型倒産は0件だが、5000万円未満の倒産が32件(前年:18件)、5000万円から1億円未満が7件(同:6件)で、1億円未満の倒産で全体の約8割となる。また、1億円から5億円未満も10件(同:7件)と前年を上回った。
資本金別では個人が5件(同:0件)、1000万円未満が10件(同:9件)で、個人と1000万円未満を合わせた零細企業の占める割合は30.6%と、2000年以降で最高となった。また、1000万円から5000万円未満が26件(同:23件)で、全体の53.1%を占める。小規模業者は国内旅行の取扱比率が高いが、震災後の国内旅行の不振が影響しているようだ。
負債額が最も多かったのは、3月に破産した海外旅行開発の2億7300万円。次いで、8月に破産したイーグル観光(2億6300万円)、4月に破産したコンフォート(1億7000万円)と続く。倒産理由としては、コミッション収入の低下やインターネット予約の普及、法人需要の低下のほか、原油高による海外旅行の不振が多く、比較的規模の大きい旅行会社では以前から続く市場環境の変化、経営環境の悪化が影響していることがうかがえる。
倒産件数を地域別でみると、関東が23件で全体の46.9%で最も多く、 近畿が17件(シェア:34.7%)と続いた。近畿の倒産件数は、2000年以降で最多となる。九州は3件(同:6.1%)、東北と中国はそれぞれ2件(同:4.1%)で、中部と北陸はそれぞれ1件(同:2.0%)。北海道と四国では0件だった。