商品開発への取り組み-冬の成都・九寨溝送客に向け、JATA研修旅行より
冬季における収益性高い中国ツアーの創出を(2)
既に2社が商品化、期中商品の予定も
研修旅行に参加した会社のうち、ANAセールスとエイチ・アイ・エス(HIS)では、今年から冬の成都・九寨溝のツアーを設定、販売を開始している。
HISは「冬化粧の九寨溝5日間」として、九寨溝でのハイキングと成都のパンダ繁殖センターを組み込み、11月5日に発売。ANAセールスはNHの成都線就航に合わせ、成都・九寨溝の5日間と峨眉山・楽山を加えた7日間の2コースで設定し、12月29日の7日間コースが催行予定だ。ただ、フックとなる冬の九寨溝の認知は消費者はもちろん、業界内でも低いため、販売拡大には消費者と業界双方への強力なプロモーションが必要だろう。
このほかの参加者は、既に今年度の計画が進んでいるため、来年以降の造成を検討する考え。ただし、期中での販売を予定している会社が1社あり、パンフレットではなく、ホームページ内のメディア販売商品として募集をかける予定だ。
参加者は「素材は素晴らしい。観光の環境が自社の顧客にあうかどうか見極めて判断したい」「青城山と都江堰を来年から商品に入れていきたい」「冬も成都メインで十分売れると思う」など、さまざまなアイディアを得たようだ。送客の上で重要な航空座席については「(他の航空会社を含め)視野を広げて検討したい」といった意見も聞かれた。
日本旅行業協会(JATA)海外業務部担当副部長の柳田博史氏は、「視察と意見交換会で心配していた部分が払拭された。冬の九寨溝がヒットすれば夏と同じ需要が得られ、10万人単位で増えることが可能」と話し、JATA・VWC2000万人推進室プロジェクト・マネージャーの山口正氏は「来期では定番化をはかりたい」と意気込む。旅行会社には利益が上げられる商品造成の視点を持ちつつ、幅広い商品開発を望みたい。
成都市、日本市場で冬季の誘致強化、震災レベル前に回復
成都市旅遊協会会長で成都文旅集団董事長の尹建華氏によると、今後日本市場に対し、冬季の観光客誘致を強化していく。
日本市場は国際市場で最も訪問者数が1位の重要市場。2008年の四川大震災を受け、同年と2009年の日本人訪問客数は大きく減少したというが、2010年は25.6%増の12万9000人と震災前のレベルに回復。2011年は1月から10月までの数値だが38.6%増の16万883人と前年を上回った。今後さらなる成長を見込んでおり、これまで集客の少なかった冬季の誘客を強める考えだ。2011年の宿泊回数で見ても、冬季(11月~4月)は夏期(5月~10月)の3分の1程度となっている。
今回の研修旅行と意見交換会も、集客強化の一環だ。中国の観光関係者と日本の企画担当者と一対一で話をする場を設けることで、相互の理解や交流促進をはかった。今後は来年の日中国交正常化40周年にあわせ、日本市場に対するマーケティングを強化し、販売につなげる考えだ。