商品開発への取り組み-冬の成都・九寨溝送客に向け、JATA研修旅行より
冬季における収益性高い中国ツアーの創出を(2)
日本旅行業協会(JATA)は、夏の人気観光地である九寨溝をフックに冬季の送客も高めようと「冬の成都・九寨溝需要喚起プロジェクト」を展開している。すでに業界向けセミナー、意見交換会、研修旅行を実施。セミナーの参加者アンケートによると、以前「冬の九寨溝への企画・団体旅行を実施したことがある」のは9.7%だが、セミナー後に「企画・団体旅行ができる」と回答したのは92.6%となり、参加者も高い可能性を見出していた。今回は、11月下旬の研修旅行中に九寨溝と成都それぞれで実施した意見交換会を中心に、商品化の取り組みをまとめた。
九寨溝-冬の送客環境の確認に集中
今回の研修旅行と現地意見交換会は、JATA海外旅行委員会のメンバーとセミナーの参加者のなかから、特に商品化の意向が強かった企画担当者を対象に実施。研修旅行の参加者からの質問を事前に現地に伝え、現地の意見交換会では観光局や交通機関、オペレーターなどと対面し、具体的な回答を得ながら確認していくという形式で進められた。
そのため、九寨溝では商品化に必要となる基本的な確認が多かった。特に旅行者の安全確保の観点での質問が集まった。例えば九寨溝内の混乗バスについて、参加者からシートトベルト義務化の要望があったが、九寨溝グリーンバスによると、バスにはシートベルトが付いていない。ただし、降雨や降雪時、積雪地域ではチェーン装着を義務付けており、安全第一を心がけているとの回答だ。また、空港から九寨溝へのバスも、現地政府が監視カメラを設置したり、警察の監視を強化するなど、安全対策を重視していることを説明する。
また、九寨溝の冬季の運営状況については、開園時間は夏よりも1時間遅く、閉園時間は1時間早くなる。原始林など一部奥地の道路が閉鎖となるほか、散策用の木道は真珠灘から鏡海など人気のルートを残して全体の3分の2を閉鎖。その代わり、通行可能とする部分は除雪するなど安全に歩けるよう管理する。また、九寨溝内のトイレは夏と同様の数を使用可能とするが、土産物店については閉鎖する可能性が高いという。
このほか、現地の医療対応やガイドの冬場の安全管理対策なども質問があがった。視察団の団長を務めた浅川修氏(ANAセールス会長/JATA海外旅行委員会副委員長)は「冬の旅行者を増やしたいが、高地への送客となるため、お客様に安心していただける旅行を提案したいと思う。心配が行き過ぎているかもしれないが、何かあったときはできる限りの援助をお願いしたい」と述べ、九寨溝風景管理副局長の徐英林氏は「安心して任せてください」と応えた。
なお、九寨溝風景管理局では冬のプロモーションを強化する方針で、毎年冬に「九寨溝インターナショナル雪祭り」を開催(2012年は1月9日開催)している。また、旧正月には地元のチベット族のさまざまな祭りが開催されている。