商品開発への取り組み-冬の成都・九寨溝送客に向け、JATA研修旅行より

  • 2011年12月22日

冬季における収益性高い中国ツアーの創出を(2)

成都-送客増加への要望と課題

 九寨溝では商品化を見極めるための質問が多かったのに対し、成都での意見交換は「冬の送客をどう増やしていくか」の質問が目立った。意見交換会には観光局、宿泊施設、オペレーターのほか、全日空(NH)、中国国際航空(CA)も参加。特に送客に欠かせない航空座席や航空運賃に対する質問が集まった。

 例えば航空座席について、NHには機材の大型化を、CAには成都/九寨溝間の座席確保がしにくい現状の改善を求めた。NHからはまだ決定していないものの、来夏以降のB767型機の導入準備を進めているとの説明があった。また、CAは成都/九寨溝間の便が夏の1日12便に対し、冬は1日2便から4便程度としていることを説明。日本路線との経由便でパッケージ運賃を出していることを説明しつつ、席を提供できるよう、今後は旅行会社と緊密な連絡を取っていく意向を示した。

日本側の団長を務めた、JATA海外旅行委員会副委員長/ANAセールス会長の浅川修氏 実は研修旅行中、今夏の九寨溝ツアー販売が芳しくなかったという話が聞かれた。九寨溝の人気がなくなったというよりも、航空座席が取れずに売ることができなかったケースもあったという。これは中国国内の需要にも影響しているようだ。中国人旅客は普通運賃でも航空券を購入する人が多いという。

 また、ツアーにおいても、「四川ならではの土産物店なら立ち寄る意味が出てくる」という意見があったが、現地オペレーターサイドからは「土産物店からの利益がなければ、価格的に難しい」との率直な回答があった。「送客の際、価格は重要なファクターのひとつ」との意見もあるが、一方で価格を上回る魅力付けも従来以上に必要なのだろう。

成都側を代表して挨拶した成都文旅集団副社長の代振氏  このほか、成都市内の交通について、現在オープンしている地下鉄1号線のほか、2号線3号線が建設中。4号線、5号線の計画や、来年7月には成都市内から空港を経由し、楽山へのモノレールが開通する予定もあるという。

 意見交換会では参加者から成都市に対して「以前よりも街が大きくなった上、きれいに清掃されており、いい印象を受けた」との感想が述べられた。これに対し、成都文旅集団の市場部総経理の高萌氏は「成都市が最も力を入れている部分。昨年の観光収入は660億元でGDPの10%。今年の観光収入は30%増から40%増を見込んでおり、観光産業を重視している」と説明した。