約款に「柔軟性」を、取消料や旅程保証など議論-JATAシンポ

  • 2011年10月27日

 シンポジウムの会場には旅行会社やオペレーターなど旅行業界関係者が多く集まっていた 日本旅行業協会(JATA)は「JATA国際観光フォーラム・旅博2011」の中で、「世界の旅行市場を発展させるパッケージツアーのあるべきルールを考察する」をテーマにシンポジウムを開催した。現在の旅行業法と標準旅行業約款は2005年4月に改定されたものだが、インターネットでの流通の拡大、中国など他市場との競争激化などめぐるましく環境が変化し、実態にそぐわない面が顕在化している。シンポジウムでは、旅程保証や取消料などについて、ヨーロッパのガイドラインやルールと比較しつつ、望ましいあり方が議論された。


▽画一的な日本、自由度の高いヨーロッパ

風の旅行社代表取締役社長 原優二氏 シンポジウムでモデレーターを務めたのは、風の旅行社代表取締役社長の原優二氏。パネリストには国際観光研究家で元帝京大学教授の石井昭夫氏、ザ・ジェイ・チーム代表取締役のゲライント・ホルト氏、かもめ取締役ホールセール部部長の柳田正弘氏の3氏が登壇した。


モデレーターの原氏はまず、現在日本でパッケージツアーの企画、販売をする上で課題となるポイントを列挙。これらは、標準旅行業約款そのものか、標準旅行業約款を画一的に採用することが原因で課題化している。

 これに対して、ヨーロッパのパッケージツアーの規制は、共通のルールを大まかなガイドラインとして決め、取消料など細かい内容については各社が設定するスタイル。ヨーロッパの旅行業界について詳しいホルト氏は、「早い段階からキャンセル料を設定したり旅行者へ解除権を与えていないなど取消しに関する規定は厳しい」ものの、「自由度が高く、旅行会社が独自に約款をつくれる仕組みになっている」という。

 ホルト氏はこうした差異について、日本の約款はもともと消費者を保護するという目的で作られた要素が強いことを指摘し、「その目的はすでに達成されている」と言及。「(今)考えるべきは旅行業そのものをどうしていくのか」であると強調した。