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業界トップが語る「震災、現在、未来」-JATAシンポジウムから

  • 2011年10月5日

市場拡大は懸念あるも楽観視

 今後の市場拡大の可能性について平林氏は、インバウンドの回復による日本市場向け座席の減少に懸念を示しつつ、「近いうちに出国者数は(2000年に記録した)過去最高値を超えるのではないかと思っている」と予測。生井氏は「2000万人に到達することはない」との持論を展開しつつ、高齢化によるシニア層の人口の増加率と、旅行需要の伸びは比例すると指摘。田川氏も人口動態による推移に同意した上で、若者などこれまで海外旅行に行ったことのない人の需要を喚起し、日本の出国率を引き上げることが重要になると語った。

 実際に出国率を上げるためには何が必要か。田川氏は「小さい時、若い時に海外旅行を経験していない人は、大きくなってから海外に行かないという統計もある」と紹介し、「できるだけ若いうちに海外を経験してもらうことが出国者数を伸ばす要因なのではないか」と言及。このほか、座席供給量問題への対応としてのチャーター強化や、地方での出国率向上のためには空港のあり方が見直されるべきといった議論もなされた。

 田川氏はまた、デスティネーション側の施策にも言及。「観光地というのは永遠にあるわけではなくて、観光客が来なければ衰退する」とし、常に観光客を呼ぶには「地域が常に次の一手を打つことが必要」と分析。スイスを例に取り、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなど自然を強みとするデスティネーションとどのように差別化するかがポイントになると語った。

 さらに田川氏は、社会全体で今後所得格差が広がり、二極化していくとの認識を示した上で、それぞれの層に対応する必要があるとも語っている。また、金井氏も講演で、「節電や休暇のあり方が変化することで、それが旅行のあり方の変化にもつながる」とし、「自然」「滞在型」「ニューツーリズム」といったキーワードを列挙。こうしたキーワードに沿って、「受身ではなく新しい旅の形を創り出す営みをしていかなければならない」と訴えた。