秋からVJ事業が本格再開-JNTO間宮氏「旧正月、桜の季節には2010年度並みに」
日本政府観光局(JNTO)理事長の間宮忠敏氏は、9月16日の記者発表会で、「秋からビジット・ジャパン(VJ)事業が本格再開する」と述べ、VJサポート機能として意欲的に取り組む意向を示した。
間宮氏は 震災の影響による訪日旅行客の大幅な落ち込みについて、2003年のSARS禍から香港とシンガポールが回復するのに1年以上かかったとして、日本の震災は「原発問題がまだ先が見えておらず、もっと厳しい」と見解を示した。その上で、今後は国内での安心・安全の確立と海外での風評被害をなくすための正しい情報発信、来てもらえる魅力を知ってもらうための積極的なプロモーションが必要とする。そのため、先ごろ発表されたVJプラスとVJおもてなしキャンペーンへの取り組みに加え、情報伝達について「時代の流れを取り入れ、先取りするぐらいの気持ちでやっていく」と、新しいメディアや手法を積極的に取り入れる考えを示した。
JNTOでは震災後の早期復活に向け、VJ対象15市場で主要旅行会社やメディアを招請した視察旅行や、SNSでの情報発信、メディア露出拡大、海外商談会などへの出展を中心とした緊急対応事業を実施。現地報道の効果やツアー催行の実現など、大きな成果があったと評価する。また、誘致を強化する国際会議やインセンティブ、教育旅行も、落ち込みからの回復に重要な役割を果たすと言及。中国人観光客に対するビザ発給要件の緩和や、外航クルーズの寄港、LCCの就航、今後の経済発展が期待されるアジアにある、日本の地理的利点などを「明るい材料がある」とし、プロモーションの本格再開に期待を示す。
8月の訪日外客数では、マレーシアが他市場に先駆けて前年比でプラスに転じた。これについて間宮氏は「大変なこと」と喜びを見せた。さらに個人的な期待感とした上で、「アジアは年内にプラス転化の市場を増やし、旧正月や桜の季節が近づく頃には全体的に2010年のレベルに近づかせたい」と語る。原発による放射の不安に加え、円高など厳しい環境にあるとしつつも、「鍵は韓国、中国の回復次第」とし、実現に向けて全体で努力していく意欲を語った。