JATA、原子力賠償請求で事務局設置へ-会員向け説明会も

  • 2011年9月4日

 日本旅行業協会(JATA)は、福島第一原発事故による原子力被害の賠償請求に関する事務局を設置する計画だ。東京電力が8月30日に発表した、原子力損害の本補償に向けた取り組みをうけてのもの。東京電力と会員各社の仲立ちをはかる考えで、9月中旬以降に事務局を設け、会員各社向けに賠償請求に関する説明会を開催する。

 事務局はJATAの顧問弁護士を中心に構成する予定で、現在運営方針を検討中だという。JATA広報室によると、JATAが請求の主体となるのではなく、会員各社からの損害賠償請求について、JATAがイニシアチブをとって取りまとめ、東京電力にまとめて提出する方向で検討しているという。東京電力側とも事務局立ち上げに際し、事前の意見交換や、会員各社からなどの質問を伝えるなどコンタクトを取っていく考えだ。

 東京電力は8月30日、原子力損害賠償紛争審査会が8月5日に策定した原子力損害範囲の判定に関する「中間指針」に基づき、原子力損害の本補償に向けた取り組みを発表。観光業の風評被害としては、福島、茨木、栃木、群馬県の4県に営業拠点がある観光業者を賠償の対象とし、外国人観光客については、日本全国の観光業を対象に5、月末までに通常の解約率を上回る解約による減収を損害として認定した。

 損害賠償請求者には保証金請求書用紙を送付し、請求者から提出された請求書を検討の上補償額を策定し、合意のため協議していく考えだ。第1回目の請求対象期間は、3月11日から8月末までに確定した損害とし、第2回目以降は3ヶ月ごとにその間の損害について請求してもらう考え。東京電力によると、8月30日の取り組み発表後、福島原子力補償相談室には9月2日現在で2000から3000件の問い合わせがあったという。

 また、請求書用紙については、個人に関わる損害の請求については9月12日をめどに発送し、請求の受付を開始するが、法人および個人事業主の損害補償については、業種が多岐にわたることから準備に時間がかかっているとし、9月中の発送とした。JATAでは請求書の内容などの詳細がわかり次第、会員各社向けに大規模な説明会を開催し、賠償請求の対象や具体的な請求方法について説明していくという。