海外・国内とも7月以降回復の兆し-震災の影響「底打ち」、JATA市場調査
日本旅行業協会(JATA)が2011年5月中旬から6月上旬にかけて実施した旅行市場動向調査によると、現況(2011年4月~6月)の海外旅行のDI値(※)はマイナス64となり、3ヶ月前から49ポイント減と大幅に減少した。震災の影響を受けたもので、2月上旬から下旬に実施した前回調査での3ヶ月後の見通しと比較すると、50ポイント減となった。ただし、JATAでは5月以降に需要が回復しつつあることから、震災の影響は底を打ったと分析。7月から8月の申し込みがGW以降に増えてきたとの意見も会員からあがっているという。3ヶ月後(2011年7月~9月)の予想も、マイナス39と25ポイント増となっている。
現況は、方面別、業態別、顧客層別それぞれ全セグメントで下落。方面別ではアジアが40ポイント減、ミクロネシアが35ポイント減、アメリカ・カナダが33ポイント減、ハワイが32ポイント減と大きく減少した。一方、韓国は17ポイント減、中国は14ポイント減で、他の方面と比較して落ち込み幅は小さかった。業態別では海外旅行ホールセラーが74ポイント減、総合旅行会社が66ポイント減と大きく落ち込んだ。顧客層別ではシニアが42ポイント減、ファミリーが34ポイント減と落ち込みの幅が大きかったが、予定の変更が難しいハネムーンについては6ポイント減にとどまった。
一方、3ヶ月後は全セグメントで上昇する見通しだ。方面別ではハワイが21ポイント増となるほか、ミクロネシア、アジア、韓国がいずれも20ポイント増となる予想だ。業態別では海外旅行ホールセラーが37ポイント増、総合旅行会社と取扱額が30億円以上のリテーラー1がそれぞれ46ポイント増と大幅に増加する見通し。顧客層別では、ファミリーが24ポイント増、シニアが21ポイント増と20ポイント以上の上昇を見込んでいる。
国内旅行も現況のDI値が41ポイント減のマイナス73となり、前回予想値のマイナス18と比較しても55ポイント減となった。震災の影響で全国的に旅行需要が減少したが、なかでも東日本方面の影響が大きく、東北はマイナス91ポイントと過去最低水準となった。横浜、浦安を含む東京も65ポイント減となった。3ヶ月後は全般的に上昇傾向であるが、東北は6ポイント増にとどまる見込みだ。
※DI値は設問事項に対し、「良い」、「普通」、「悪い」、「取扱なし」の4回答を用意、この回答からシェアを算出するもの。「全て良い」場合にはプラス100となる。JATA調査では、JATA会員会社の経営者などに対してインターネットでアンケートを実施し、業態、顧客層、方面別に業況判断をDI値を導出している。今回の調査期間は2011年5月18日から6月1日。設定数は631社で、うち338社から回答があった。