インバウンド復活に向け緊急対応、旅行会社やメディア1000名招待へ
日本政府観光局(JNTO)は、東日本大震災の影響で大きく落ち込んでいるインバウンドの回復に向け、緊急対応事業を実施する。訪日外客数は3月12日から31日が前年比73%減、4月が62.5%減、5月が50.4%減と激減しているところ。これに対して、緊急対応事業では、3月以降すでに実施した分を含めて海外の旅行会社やメディアなど1000名を日本に招き、日本の観光の現状を視察、体験してもらう。また、広告宣伝などにも取り組む予定だ。
JNTO理事長の間宮忠敏氏は6月17日の定例会見で、3月の訪日目的別の影響について、観光67%減、商用46%減、その他10%であったとし、4月以降はデータが揃っていないものの、より観光の落ち込みが大きくなると分析。JNTOとしてこれまで、ツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)の電話対応24時間化、ウェブサイトにおける4言語での情報発信などに取り組んできたとした上で、今回の緊急対応事業などにより、「(日本の)復興にはまだまだ時間がかかるが、今こそ観光が復興をリードするという気持ちで取り組んでいく」と意気込みを示した。
緊急対応事業では、ビジット・ジャパン事業の対象市場である全15市場から、旅行会社約530社の610名とメディア約270社の390名を招請。また、主に震災の影響を受けていない地域への訪日旅行商品を実施する旅行会社とともに、共同で宣伝広告も展開する。
取り組む内容は市場によって異なり、例えば韓国では6月23日から25日にかけて、韓国の航空会社と連携し、訪日旅行商品の販売実績が多い韓国の大手旅行会社24社の社長を招請。東京や鎌倉、箱根などを案内する。中国では瀋陽、大連、天津、杭州、上海、江蘇省、広西自治区、海南省、西南地区などから70社70名を東京と中部、関西、九州方面に招く。
また、香港では人気司会者エリック・チャンさんとその友人である芸能人20名を招待し、東京と大阪を巡る旅番組を制作。7月11日から5夜連続でゴールデンタイムに放映予定という。さらに、台湾では、日台の航空会社5社と共同でキャンペーン旅行商品の広告を展開。シンガポールではFacebookで理想の旅行日程の公募キャンペーンを実施する。
このほか、米国では旅行者に影響力のある雑誌の人気記者が日本に3週間滞在してウェブサイトやSNSで情報発信し、オーストラリアでは有力紙で4ページの日本特集の記事制作を支援。イギリスではオンライン旅行会社と共同広告を実施し、個人旅行者向けの情報発信を強化する。
なお、JNTOとしては、TICの24時間化などの初期対応が第1段階、今回の緊急対応事業が第2段階と位置付けており、第3段階として通常のプロモーション活動を再開する方針だ。