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アクセスランキング、1位は“バンコク1万円”
-「20代インタビュー」も

  • 2011年6月4日

[総評] 今週のアクセスランキングは、HISの「成田/バンコク線往復1万円」のニュースが1位になりました。燃油サーチャージ込みで1万円ですから注目されるのも当然ですし、実際に発売後は2、3分で完売してしまったそうです。7月14日から31日まで毎日1便、平均で10席程度は設定していたそうですから、200名弱の幸運の持ち主がタイを訪れることになります。先週の総評でLCCのビジネスモデルについて触れました(リンク)が、こうしたインパクトのある運賃はきっと海外旅行市場を刺激してくれるでしょう。

 「市場を壊す」という批判も当然成り立ちますが、フォーカスライトジャパン日本代表の牛場春夫氏によると、例えば欧州のライアンエアー(FR)の場合、2007年のデータでは旅客の41%が“FRが存在しなければ旅行に行かなかった”層であったといいます。つまり、100人いればそのうち41人は、他の航空会社や鉄道、バスなどから乗り換えたわけではない、まったく新しい顧客層であったわけです。欧州と日本で異なる部分もあるとはいえ、顕在的にせよ潜在的にせよニーズがあることは間違いありませんから、低価格を武器にすること自体は問題ないはずです。

 懸念があるとすれば、個人的には日本人が往々にして“過度なホスピタリティ”を発揮してしまう点を心配しています。value for money(値段に見合った価値)という英語がありますが、日本人は人が良いのか、値段は据え置きつつ、これでもかと価値を積み上げていく、あるいは値段を下げる場合も価値は据え置く傾向にあります。“サービス”という言葉が“無料”の意味で通用していることも、こうした傾向を示しているでしょう。

 ホスピタリティは尊いものですし、相手のために何かをしてあげたいという意欲も素晴らしいことなのですが、それによって疲弊してしまっては仕方なく、それこそ市場が壊れてしまいます。例えば、LCCがフルサービスキャリア(FSC)なみのサービスを提供すれば、FSCは商売にならないでしょう。異なる市場に向けて、それぞれの値段に見合った価値を提供することが、市場を守る一番の方法であるはずです。

 本当は、消費者が値段と価値の適切な関係を認識し、良いものには高く払う、安いものはそれなりの品質で納得する、となれば楽なのですが、国民性はそう簡単に変わるようなものではありません。また、人々は今の水準に慣れていますから、急に価値を引き下げれば見向きもされなくなる可能性もあります。

 そう考えると、日本初のLCC“Peach”がどのように消費者を“教育”していくかは非常に興味深いところです。というのも、もしPeachがいわゆるLCCのビジネスモデルを展開するとすれば、簡素な旅客ターミナル、有料の“サービス”など何かしらの不便をお客様に納得していただく必要があるためです。その意味では、Peachや後に続くLCCには、もしかすると市場開拓だけでなく日本人の意識変革も期待できるのかもしれません。

 なお、9位に入りましたが、今週から「20代インタビュー」の企画を始めました。1ヶ月に1回程度の割合で、これからの旅行業界をになう若手の方々にご登場いただき、同世代の読者の皆様にはライバルからの刺激を、30代以上の皆様にはフレッシュさや初心を思い出す機会をお届けしたいと考えております。推薦も大歓迎ですので、「こいつはおもしろい!」「あの子は頑張ってる!!」等々、是非ご紹介ください。(松本)


※日刊トラベルビジョン 配信アドレス変更のお知らせ

 トラベルビジョンでは、今般のウェブサイトリニューアルの一環で、6月6日の朝刊分から日刊トラベルビジョンの送信元アドレスを下記の通り変更します。ドメイン指定で受信を許可されている場合や、また送信元メールアドレスを使用してフィルタを設定されている場合は、6月4日午前11時から同6日午前6時までの間に設定を変更していただけますようお願いいたします。ご不明な点は、編集部までお問い合わせください(editor@travelvision.co.jp)。(松本)


▽日刊トラベルビジョン送信元アドレス変更
【新】postman@travelvision.jp
【旧】postman@travel-vision-jp.com
【変更時期】2011年6月6日朝刊配信分より

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年5月第5週、6月第1週:5月30日2時~6月3日18時)
第1位
HISがビジネスエアーをチャーター-成田/バンコク間を往復1万円で発売(2011/5/31)
HISのバンコク1万円、数分で完売-残りの席も割安感強みに販売へ(2011/6/1)

第2位
全日空、アマデウスと契約、旅客管理システムで-インフィニには「影響なし」(2011/5/31)

第3位
JTB、10年度決算は最終黒字50億円-震災影響額は340億円に、海旅が堅調(2011/5/30)
JTB専務取締役に井本常務、役員人事が内定(2011/5/30)

第4位
全日空とルフトハンザ、ATI認可取得、下期から共同事業開始へ(2011/6/2)

第5位
日本航空、12年4月に成田/ボストン線開設-アメリカン航空と共同事業で(2011/5/30)

第6位
イースター航空、7月から成田/仁川線運航開始-デイリー運航で(2011/5/31)

第7位
大韓航空、成田/仁川線にA380を導入-6月17日から(2011/5/31)

第8位
ハウステンボスの低価格船、長崎/上海航路に11月就航-片道7000円程度(2011/6/3)

第9位
20代インタビュー:エイチ・アイ・エス バリ支店 助川真樹さん(27歳)
(2011/5/30)

第10位
デルタ、羽田/ロサンゼルス、デトロイト線再開-記念キャンペーン実施(2011/6/1)