事業継続は「集客」課題、ニューツーリズムの現状、アンケートから浮き彫りに

 ニューツーリズム商品化の課題は「集客手段」―。国土交通省、観光庁が2007年度から取り組んできたニューツーリズム創出・流通促進事業で、これまでにモニターツアーを実施した事業者の大半がツアーの継続へ集客に苦戦していることが浮き彫りになった。

 これは、同事業を受託したツーリズム・マーケティング研究所が、115事業者のうち68事業者から回答を得たアンケートの結果。モニターツアーをその後、旅行商品化しているとした事業者は27.9%、体験プログラムとして実施しているは29.4%だった。

 何らかの形で地域への集客手段としてニューツーリズムを活用している事業者は過半数を超えたものの、モニターツアーだけで終わった事業者も7.4%あった。

 すでに商品化している事業者、検討中の事業者を含めてニューツーリズム促進の課題は集客手段がもっとも多く、次いで採算性、安定した受け入れ体制だった。この3つで8割を超えた。商品化後も告知、販売手段を課題に挙げる事業者は多かった。

 また、一度は旅行商品化したものの取りやめた事業者も集客がネックになっていた。

 近畿運輸局が2月8日に実施したセミナーで、アンケート結果を報告したツーリズム・マーケティング研究所の中根裕さんは、旅行商品化につなげた事例を紹介した。

 そのうち、島根県松江市で「松江ゴーストツアー」を定期実施しているNPO法人松江ツーリズム協会の取り組みについて「ツアーの宣伝費用を価格に転嫁させないように、記事としてマスコミに取り上げてもらえるようにし、無理のない近隣からの集客から始めていた」、「モニターツアーの構想段階から事業として継続することを意識していた」などと話した。

 ニューツーリズム創出・流通促進事業は09年度の28事業者で終わる。近畿運輸局管内では奈良県桜井市の「卑弥呼」をテーマにした歴史観光ツアー3つが採択されていた。


情報提供:トラベルニュース社