旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(5)宮崎駿監督の世界

  • 2009年4月17日
世界の風景が登場する宮崎アニメ

 現在、日本映画界一のヒットメーカーである映画監督といえば、日本アニメ界の第一人者でもある宮崎駿氏。その原点がリアリティを求めた『アルプスの少女ハイジ』だった。その後、発表されてきた宮崎アニメにも、国内外にある実在する様々な場所が登場してきた。公式ホームページには、物語の背景として大いに参考にした海外の場所として、以下のような土地があげられている。

 『紅の豚』→アドリア海とその周辺
 『天空の城ラピュタ』→イギリス・ウェールズ地方
 『魔女の宅急便』→スウェーデンのストックホルム、バルト海に浮かぶゴトランド島ヴィスビーの町
 『ハウルの動く城』→フランス・アルザス地方、中央アジア

 もちろん作品はフィクションであり、それぞれの場所がその通りに描かれているわけではないが、どこにどんな場面が登場するか、興味のあるところだ。



謎解きが楽しいアニメの舞台訪問

 制作者が公式に認めているわけではなく、あくまでの噂の範疇になってしまうのだが、宮崎アニメの舞台として多くの場面に登場している(と思われている)国にオーストラリアがある。最初に噂が広がったのが『風の谷のナウシカ』という作品。オーストラリア中央部、エアーズロックで知られ、世界遺産に登録されているウルル−カタ・ジュタ国立公園内に、ずばり“風の谷”(Valley of Winds)という場所があるからだ。それからオーストラリア各地で「宮崎アニメのあの作品のあの場所では?」という話がまことしやかに語られるようになったのだ。いくつかの例をあげれば・・・、

『魔女の宅急便』に出てくるパン屋はタスマニアのロスという町にある
『天空の城ラピュタ』に登場する飛行石は、オーストラリアの洞窟で見られる“土ボタル”がモデル
『紅の豚』の飛行シーンに出てくる海岸の岩は、メルボルン近郊の“ロンドン・ブリッジ”
『もののけ姫』に登場する岩は、ビクトリア州グランピアンズ国立公園内の“ザ・バルコニー”である

 そのほか、『となりのトトロ』、『ルパン3世カリオストロの城』、『未来少年コナン』などに、オーストラリアのさまざまな場所が登場しているという。すべて噂なのだが、実際、これらの場所を訪れることを目的にオーストラリアに行く人も少なくなく、インターネットで検索すればそうした旅行記が散見される。噂の真偽はともかく、多くの人に旅のきっかけを与えるほどに、宮崎アニメの影響力は大きい。純粋に物語の世界に浸るだけではなく、背景となる場所の謎解きも旅を楽しむ方法のひとつかもしれない。


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