旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(4)ベルギー、フランダースの犬
火付け役は日本人観光客
ベルギー北部、アントワープとその郊外にあるホーボーケンを舞台にした「フランダースの犬」。原作は1872年にイギリス人作家のマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメーによって書かれた児童文学で、その後、映画やテレビアニメになり、日本ではすっかりおなじみの物語となっている。
物語の主人公は、農村ホーボーケンに住む貧しい孤児の少年ネロとその愛犬パトラッシュ。村人から預かったミルクを毎日荷車に載せてアントワープまで運び、市場で売っている。ネロには将来、画家になりたいという夢があり、いつかはアントワープの聖母大聖堂にあるルーベンスの絵をすべて見たいと思っていた。村の風車小屋に火事を起こした犯人にされ、住む場所さえなくなったネロとパトラッシュが、疲れた体を引きずってめざしたのは、聖母大聖堂にあるルーベンスの絵「キリストの降下」だった。そしてその前で、彼らは天に召されたのだった。
物語の中の描写は事実と一致するものが多く、その舞台を訪ねてみるのも楽しい。ホーボーケンへはアントワープからトラムで20分ほど。町では多くの日本人観光客が訪れることに驚き、1985年に観光局の前にネロとパトラッシュの像をたてた。また、アントワープには2003年にマルクト広場に記念碑が作られ、絶好の撮影スポットになっている。物語の核である聖母大聖堂にはルーベンスの4作品があり、物語に思いを馳せながらじっくり鑑賞したい。
現在のアントワープは、王立芸術アカデミーに代表される国際的なファッション基地。ファッション関連のイベントが多数開催され、「ザウト」と呼ばれるエリアにはトレンディーなデザイナーショップやレストランが並ぶ。ベルギー北部を訪れるなら、こんな一面にも触れてみたい。
意外にも、現地での人気は・・・
この物語は、日本と韓国、アメリカで特に親しまれ、1908(明治41)年には日本語訳が出版。その際、ネロは「清(キヨシ)」、パトラッシュは「ブチ」と改名されている。テレビアニメは1975年に1年間にわたり放送され、最高視聴率30パーセントを超える人気番組となった。
しかし現地では、ネロとパトラッシュの像が建てられた1985年まで、この物語の存在はほとんど知られていなかったという。アニメでは、原作にはないオリジナルのキャラクターやストーリーも盛り込まれているが、大きく違っているのが主人公ネロの年齢。アニメでは10歳となっているが原作では15歳で、ヨーロッパでは「15歳ならもっと自立するべき」との見方が強く、それが「フランダースの犬」が有名にならなかった原因ともいわれる。また、「私たちは貧困にあえぐ少年を見殺しにするほど冷たくはない」との地元の人々の意見もある。ハッピーエンドを好むアメリカでは、「ネロとパトラッシュは死なない」ストーリーに変えられているそうだ。
▽参考サイト
ベルギー・フランダース政府観光局
http://www.visitflanders.jp
▽今週の旅のテーマ
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(3)フィンランド、ムーミンの世界(2009/04/15)
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(2)カナダ、赤毛のアンの島(2009/04/14)
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(1)スイス、ハイジの世界(2009/04/13)

物語の主人公は、農村ホーボーケンに住む貧しい孤児の少年ネロとその愛犬パトラッシュ。村人から預かったミルクを毎日荷車に載せてアントワープまで運び、市場で売っている。ネロには将来、画家になりたいという夢があり、いつかはアントワープの聖母大聖堂にあるルーベンスの絵をすべて見たいと思っていた。村の風車小屋に火事を起こした犯人にされ、住む場所さえなくなったネロとパトラッシュが、疲れた体を引きずってめざしたのは、聖母大聖堂にあるルーベンスの絵「キリストの降下」だった。そしてその前で、彼らは天に召されたのだった。

現在のアントワープは、王立芸術アカデミーに代表される国際的なファッション基地。ファッション関連のイベントが多数開催され、「ザウト」と呼ばれるエリアにはトレンディーなデザイナーショップやレストランが並ぶ。ベルギー北部を訪れるなら、こんな一面にも触れてみたい。
意外にも、現地での人気は・・・

しかし現地では、ネロとパトラッシュの像が建てられた1985年まで、この物語の存在はほとんど知られていなかったという。アニメでは、原作にはないオリジナルのキャラクターやストーリーも盛り込まれているが、大きく違っているのが主人公ネロの年齢。アニメでは10歳となっているが原作では15歳で、ヨーロッパでは「15歳ならもっと自立するべき」との見方が強く、それが「フランダースの犬」が有名にならなかった原因ともいわれる。また、「私たちは貧困にあえぐ少年を見殺しにするほど冷たくはない」との地元の人々の意見もある。ハッピーエンドを好むアメリカでは、「ネロとパトラッシュは死なない」ストーリーに変えられているそうだ。
▽参考サイト
ベルギー・フランダース政府観光局
http://www.visitflanders.jp
▽今週の旅のテーマ
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(3)フィンランド、ムーミンの世界(2009/04/15)
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(2)カナダ、赤毛のアンの島(2009/04/14)
◆旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(1)スイス、ハイジの世界(2009/04/13)