旅のテーマ:アジアの屋台巡り(2)韓国−ノジョムとポジャンマチャ

  • 2009年4月7日
隣国の異世界が楽しめる場所

 最近の円高ウォン安で、お得感が高まっている韓国。韓国へ旅行する日本人の数は大幅に伸びている。この機会に韓国でブランドショッピングをしたり、豪華なホテルでの滞在を楽しんだりする人も多いだろう。そして韓国で忘れてはならないのが食の楽しみ。高級料理店で贅沢するのもいいが、韓国は日本の隣にありながらも、わが国とは大きく異なる文化をもつ国。屋台は、そんな異世界としての韓国を実感できる場所のひとつだ。

 韓国でも屋台は人々の生活に欠かせない存在。通りを歩けばあちこちで見かけるが、とくに繁華街や市場の周辺部などに多い。ソウルでは鍾路や明洞、南大門、江南など、釜山では西面や南浦洞、海雲台などが知られている。

 見慣れない食材や漢方薬の材料が並ぶかたわら、真っ赤な料理がぐつぐつと煮えている。さまざまな料理の匂いが交じりあい、時には異臭を放つなか、こぼれそうなほど売り物が並べられたリヤカーを眺めていると、あちこちから客引きのおばちゃんたちの声が飛んでくる。その雰囲気は、時には圧倒させられるほどエネルギッシュだ。


屋台で食べられる料理の数々

 韓国の屋台には大きく分けて「ノジョム(露店)」と「ポジャンマチャ(布張馬車)」の2種類がある。ノジョムは軽食やおやつ類を販売する屋台で、座席はないものがほとんどだ。一方、ポジャンマチャは簡易の飲み屋台。椅子やテーブルが置かれ、周囲はビニールの幕で覆われている。ノジョムは午前中からやっているが、ポジャンマチャはたいてい夕方からはじまる。

 ノジョムで売られている食べ物の種類は多種多様だが、代表的なものをあげてみよう。餅を甘辛く煮込んだ「トッポッキ」や、韓国版のり巻きの「キムパッ」、チヂミ「パジョン」などは日本でもよく知られている。「オデン」は日本のおでんの韓国版で、魚系の練り物が中心だ。そのほかにも黒砂糖やはちみつ、シナモンなどを小麦粉の生地に包んで焼いた「ホットク」、たい焼きに似た「プンオパン(フナ焼き)」などのスイーツもある。

 ポジャンマチャのメニューには、当然ながら酒のつまみが多い。焼酎やマッコルリ(どぶろく)、ビールにあわせて、「コッチャン(ホルモン)」や豚の腸詰炒め「スンデポックン」、春雨と野菜の炒め物「チャッチェ」、温麺の「チャンチグクス」などのほか、パジョンやキムパッ、トッポッキも注文できる。

 ノジョムでの買い食いはともかく、地元民が集まるポジャンマチャは、旅人にとっては少し敷居が高い場所かもしれない。メニューはあってもハングルで書かれており、外国語が併記されていないことも多い。言葉がわからない人は店先に並んでいる料理か、他の人が食べている料理を指さすなどして注文しよう。ポジャンマチャではメニューがある場合でも、値段が表示されていないことが多い。観光客の多い南大門のポジャンマチャではぼったくりの被害が出ているので、注文時によく確認するようにしたい。ともあれポジャンマチャでおいしいお酒と料理に舌鼓を打てば、ディープな韓国により一層近づけた気分になれるだろう。


▽今週の旅のテーマ
旅のテーマ:アジアの屋台巡り(1)台湾−夜市(2009/04/06)