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取材ノート:相互交流300万人への課題とチャレンジ−日台観光サミット

  • 2009年3月18日
 日台観光サミットは、日本と台湾間の相互観光交流を活発化する目的で、昨年3月に第1回の会合が台北で開催された。今回、静岡で開催された第2回日台観光サミットでは、2010年を日台観光交流年に制定し、300万人の相互往来をめざす目標を設定。これに向け、この1年間の双方の取り組みと現状、今後の方向性などを議論した。参加者は、日本側は観光庁次長の神谷俊広氏、日本旅行業協会会長(JATA)の金井耿氏など66名。台湾側は駐日經濟文化代表處駐日代表の馮寄台氏、台湾交通部觀光局局長の瑟珍氏、台灣觀光協會會長の張學勞氏など52名。


新たなチャレンジと関係強化が最重要ポイントに

 サミットの冒頭、議長を務める日台観光推進協議会・日本観光協会会長の中村徹氏と張氏が開会宣言の挨拶。中村氏は、世界的な不況や日本国内の旅行需要減少、訪日観光客の低迷など多くの阻害要因があるが、「困難な時こそ新たなチャレンジが必要」と強調。日本側のビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)およびビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)、台湾側では2008年から2009年の旅行台湾年などの取り組みにより、「2008年は双方交流248万人と前年並みの結果を残した」と評価しつつ、さらなる発展には多くのアイディアを出し、相互に確認することが重要と位置づけた。

 張氏は「観光産業を取り巻く状況は厳しいが、非常時だからこそ日台観光サミットの重要性は高い」と認識を示した。また、「2008年における台湾のアウトバウンドは、前年比5.56%減の846万5000人と減少したが、そのうち日本への旅行者数は2.26%増の131万人と健闘。インバウンドは日本人訪問客は減少したが、全体では3.47%増の384万5000人と増加。国内のインバウンド業者に、国際観光の推進に自信をもたらす結果となった」と現状を説明し、関係強化をはかり、双方の観光資源を最大限に利用して目標に邁進したいと述べた。

日本は消費マインド冷え込み、台湾は訪日意欲が強い

 日本における現状と展望について、金井氏は「世界的な不況を受けて2008年の訪台旅行者数は前年比で約7%減、台湾からの訪日旅行者数もかろうじて前年を上回る程度で推移した」と説明したうえで、旅行業界の役割を「消費者が抱く『旅への想い』への出口を見つけて切り開くこと」とした。具体的には、JATAが標榜する文化、交流、経済、健康、教育をあわせた「旅の力」が発揮されるような仕組みを作ることが必要と訴え、各地の日台観光推進委員会や組織に、各社のマネジメントクラスや台湾観光協会のトップが参画することを提案。これにより、アクションプラン策定から成果までのプロセスがスピーディに展開し、目標達成に大きく貢献すると期待する。また、台湾側にも同様の機能を持つ委員会の構築が必要との認識を示した。

 台湾側の観光の現状と展望は張氏が説明。2009年の台湾/日本間定期便は12路線、週226便5万9000座席を供給。チャーター便も活発で、2008年は107本が運航、2009年も3月までに41本が実施されるという。旅行需要については、日本人の訪台旅行者数減少の要因として(1)燃油サーチャージの高騰、(2)消費者マインドの冷え込み、(3)ウォン安により韓国旅行へ大量にシフトしたこと。台湾からの訪日旅行者数の増加は(1)訪日意欲が強く円高は影響しない、(2)FITが年々増加し、自主性が強い台湾人の性質が数字を押し上げた、と分析する。台湾では2008年に部会を発足し、さまざまな活動を実施しており、「引き続き双方の関係者が定期的に意見交換し、交流強化をはかりたい。さらに文化や祭典を通じて日本と台湾の親睦を深めることが大切」とした。

さまざまな誘致プランの実施で300万人達成へ邁進

 日台双方で観光客誘致を目的に実施されている具体的なプロジェクトは、旅行台湾年、VWC、VJCなど。今年はさらに大型イベントの開催、業者向け奨励制度の継続、消費者向けキャンペーンを積極的に展開する。

 2009年観光台湾年は、台湾の食文化や健康保養、スター追っかけ旅行、大型イベントの開催などが推進ポイントとしている。例えば、伝統的な宴会料理と民俗芸能、温泉とマッサージ、健康食とあわせた提案など。消費者向けのキャンペーンでは、クレジット賞金などプレゼントを用意する「百万旅客百万賞」、無料で台北湾の半日ツアーに参加できる「通過旅客半日ツアー」などを企画する。また、台湾交通部觀光局國際組組長の劉喜臨氏は、台湾と中国本土との相互観光交流の強化に触れ「日本と台湾の観光への影響が懸念されたが、それほど影響は受けていない。むしろ日台の旅行業界にとってチャンスと捉えられる」とコメント。「在日中国人の台湾旅行市場の開発、日本、台湾、中国本土の周遊プランの共同開発などが考えられる」とのアイディアも語った。

 日本側はVWCとVJCでは台湾を重要デスティネーションに位置づけ、さまざまな施策を予定。VWCでは、旅行会社スタッフのレベルアップや台湾の魅力発掘、地方発商品などの5つの施策に取り組む。さらに台湾側に、日本の旅行会社との個別提携プロジェクトプランの実行、VWC共同ピーアールプランへの参加、空港での団体用バスレーンの整備拡大、禁煙法後の分煙施設の拡充、新観光素材開発とセミナー開催などを期待した。VJCでは、20代から30代の女性をメインターゲット、富裕層をサブターゲットに設定。若年有識女性層のFIT拡大に的を絞ったプロモーション、台北国際トラベルフェア(ITF)や高雄旅行博への出展、台湾人の関心が高い瀬戸内を組み込んだ商品造成の促進などに取り組む。

 議長総括では、燃油サーチャージ値下げなどの好条件を活かした取組み、羽田/台北松本直行便の実現、青少年やシルバー層など相互交流の展開に向けて最大限の努力を講じていくことが確認された。


静岡空港開港記念商品
チャーター便利用の台湾旅行を販売

 タビックスジャパン静岡支店は3月16日、静岡空港からチャイナエアライン(CI)の
チャーター便を利用した商品が、日台観光サミット開催にあわせて3月16日から販売さ
れた。設定は、開港予定日の6月4日、7日、13日の3日間。高雄と花蓮、台北を巡る
「三大観光地巡り」と「のんびり台北滞在」の2コースで、添乗員同行の3泊4日となっ
ている。料金は燃油サーチャージ・空港税込みで、フリープランが8万5800円から
9万3800円、周遊プランが10万5800円から11万3800円。富士山静岡空港就航促進・利
用拡大委員会/台湾部会のメンバー8社が販売する。



取材:齋藤智子