北欧デザインを巡る旅(3)スウェーデン、公共交通、環境など切り口が多様

  • 2009年2月18日
 19世紀の半ばから、国をあげてプロダクトデザインに力を入れてきたスウェーデン。100年以上前から家具や日用品など、身の回りの品々のデザインに注意を払ってきた。日本では「IKEA」やカジュアルファッションブランドの「H&M」などの比較的安価でカジュアルなブランドが話題になっているが、品質面でも世界有数のデザイン先進国である。

 旅行者にすすめたいのは機能性にすぐれ、洗練されたデザインの日用品。木工やガラス細工もスウェーデンのデザインの伝統を知るにはいい。首都ストックホルムには何でも集まっているが、時間があれば、ストックホルムから南へ、鉄道で約4時間ほどの距離にあるスモーランド地方を訪れ、ガラス工芸品の制作現場やモダンな家具工房を訪れてみたい。スモーランド地方は「ガラスの王国」と呼ばれるガラス工房の集まる地域として有名だ。

 デザインを巡る旅ならストックホルム市内の移動は公共の乗り物がおすすめだ。ストックホルム市内を通る地下鉄線の、全線100駅中66駅が140人もの芸術家のさまざまな壁画や彫刻等で飾られ、プラットホーム全体がさながら美術館のようになっている。なかでも、白い壁にコバルトブルーの鮮やかな絵が描かれたクングストレッドゴーデン駅や、壁一面に文字が書かれたリッスネ駅などは必見。また、「夏限定で車両内がカフェになるカフェトラムなどもあり、見どころやショップが点在しているストックホルムには移動中も楽しめる要素が沢山ある」と、スカンジナビア政府観光局の高橋成美氏。

 ホテルでは、ストックホルムの中央駅近くに昨年2月にオープンしたクラリオン・ホテル・サインも有名。ここは、北欧4ヶ国の著名なデザイナーの家具が、国ごとに分かれて置かれているという、北欧デザインファンにはたまらないホテルだ。

 このほか注目したいのが、環境を考慮したデザイン。豊かな水と自然に囲まれたスウェーデンで今、関心が高まっているデザインだ。若手デザイナー集団「Form us with love」のとうもろこし素材を使用したオフィス家具や、「IKEA」の製品作りの過程であまった素材を再利用した家具など、自然に優しく人体に無害という優れもののアイテムが注目されている。特定のブランドだけでなく、「環境に配慮したデザイン」というテーマで旅をしてみるのも面白い。


関連サイト
▽スカンジナビア政府観光局
http://www.visitscandinavia.or.jp/

▽クラリオン・ホテル・サイン
http://www.clarionsign.com/


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