個性が光る、ヨーロッパの古城ホテル(4)フランス「シャトーホテル」

  • 2009年2月5日
 フランスには、古城や領主の館を改装した「シャトーホテル」が数多くある。「シャトー」と聞くとゴージャスなイメージを抱くかもしれないが、昔の造りを活かしつつ落ち着いた色調でまとめた客室は、「煌びやか」というより「重厚」そのもの。







 宿泊してみると、豪華さで圧倒するのではなく、自分の家で過ごすような寛ぎを提供することこそ、シャトーホテルが考える「真のもてなし」だということに気づく。いずれのホテルも客室数は多くて30室ほど。オーナー家族が同じ城内に住んでいることも珍しくなく、遠来の客を親しい友人のように迎えてくれる。「自分が生まれ育ち、愛するこの城の暮らしを、訪れる人にも味わってほしい」。ロワール地方にある「シャトー・ド・ラ・ヴェルリー」のオーナー、ド・ヴォグエ伯爵の言葉だ。観光名所となっている古城とは違う、生きた空間と温もりがここにはある。

 多彩であることも、フランスのシャトーホテルの魅力のひとつ。元の建造物は、「城」であるとは限らない。カトリックの司教館であったり、ワインの醸造主の館であったり。その多くは、シャトーホテルを統括する組織に加盟しており、各メンバーの情報をまとめたカタログも出されている。

 そのうちのひとつ、「グランド・ゼタップ・フランセーズ」は、加盟ホテルが10軒のみという、ハイレベルな組織。由緒ある城館やマナーハウスを厳選して改装し、いずれも快適で魅力的な空間に仕上げている。たとえばブルゴーニュ地方にある「シャトー・ド・ジリー」は、11世紀にこの地で創始したシトー会の修道士が住んでいた場所。120平方メートルの広さをもつ「修道院長の部屋」や礼拝堂を思わせるレストランなど、各所に中世が香るホテルだ。「グラン・クリュ街道」と呼ばれる高級ワインの産地を結ぶルートの界隈にあり、ブルゴーニュワインのドメーヌ(ワイナリー)を巡る拠点としても、すすめられる。

 このほか、シャトーホテルの有名な組織としては、「ルレ・エ・シャトー」。メンバーとして認められる基準が非常に厳しいことで知られる。厳正な審査の後、審議会の承認を得て初めて加盟が認められるため、利用者の信頼も厚い。また、フランスを代表するシェフ、アラン・デュカスが会長を務める「シャトー&ホテル・コレクション」はフランス全土に加盟ホテルをもち、さまざまな個性のあるホテルのなかから選択できるのがうれしい。両者とも日本にある予約センターを通して、日本語での手配が可能だ。


▽参考サイト
ルレ・エ・シャトー
www.relaischateaux.com

シャトー&ホテル・コレクション
http://www.chateauxhotels.jp/

グランド・ゼタップ・フランセーズ
http://www.grandesetapes.fr/



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