個性が光る、ヨーロッパの古城ホテル(1)ドイツ ポツダム

古城ホテルはこれまでも人気の素材であったが、特に本物に触れたいという旅行者が増え、「泊まる」ことへのこだわりが強まっている昨今のニーズにあてはまる。今週は、各国それぞれ個性があり、お国柄が表れているヨーロッパの古城ホテルにスポットを当てる。
第1回で紹介するのは、古城の数では群を抜くドイツ。

城といえば豪華絢爛でエレガントな建物を想像しがちだが、必ずしもそうとは限らない。ドイツ語で「シュロス」とつくものは貴族などの城館だったものをさし、「ブルク」とつくものは、防衛機能を考慮した「要塞」をさすことが多い。ひとくちに「古城」といっても、2種類あるというわけだ。
今回紹介するのは「シュロス」。首都ベルリンの隣町で、ポツダムにあるツェツィーリエンホーフ宮殿の一角をホテルにした「ルレクサ・シュロスホテル・ツェツィーリエンホーフ・ポツダム」だ。

この宮殿はもともと、ドイツ統一を成し遂げたプロイセンの第9代皇帝ヴィルヘルム2世が、皇太子ヴィルヘルムと皇太子妃ツェツィーリエのために建てたイギリスチューダー風の山荘。壁から構造材の木が露出している「ハーフティンバー」という建築様式が特徴で、外観は意外に質素だ。とはいえ180室もある大邸宅。1917年の完成後すぐに革命が起こり、君主制が倒れたため、皇太子夫妻がここに住んだのはわずか1年だった。
ホテルの客室数は41室。ゲストルームはクラシックなリネン、ランプ、肘掛け椅子などイギリス風に上品に統一され、優雅な気分で宿泊を楽しむには十分。スイートルームの窓からは公園や湖が眺められる。宮殿がある新庭園はイギリス式で美しく、湖に面している。観光客がいない静かな早朝、ゆっくりと散歩をすることができるのは宿泊者の特権だ。またレストランでは、本格的な郷土料理をエレガントな雰囲気のなかで味わえる。初夏から秋はテラス席もオープンし、軽食やお茶を楽しむこともできる。

なお、ベルリンの壁崩壊20周年を迎える今年、ドイツ観光局ではイヤーテーマを「ベルリンの壁崩壊20周年」とし、ベルリンとポツダムなどをルートに含んだ最新モデルコースを提案している。
▽シュロスホテル・ツェツィーリエンホーフ・ポツダム
http://www.relexa-hotel.de
▽古城ホテル協会
http://www.gast-im-schloss.de/
ドイツ観光局
http://www.visit-germany.jp/