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個性が光る、ヨーロッパの古城ホテル(1)ドイツ ポツダム

  • 2009年2月2日
 山の上に建つ重厚な城、広い庭をもつ中世の貴族や騎士の館、かつての領主の邸宅。それらを改装した「古城ホテル」は、一度は泊まってみたい憧れの存在だ。

 古城ホテルはこれまでも人気の素材であったが、特に本物に触れたいという旅行者が増え、「泊まる」ことへのこだわりが強まっている昨今のニーズにあてはまる。今週は、各国それぞれ個性があり、お国柄が表れているヨーロッパの古城ホテルにスポットを当てる。



 第1回で紹介するのは、古城の数では群を抜くドイツ。

 ドイツは中世以降、18世紀のプロイセンの統一に至る1000年以上の間、小さな領主国の乱立が続いたために、国のいたるところに大小の城がある。中世にはおよそ1万もの城があったそうだ。これらの一部は古城ホテルとなり、宿泊施設として、またその土地の地方料理を味わえるレストランとして、旅行者の人気を集めている。

 城といえば豪華絢爛でエレガントな建物を想像しがちだが、必ずしもそうとは限らない。ドイツ語で「シュロス」とつくものは貴族などの城館だったものをさし、「ブルク」とつくものは、防衛機能を考慮した「要塞」をさすことが多い。ひとくちに「古城」といっても、2種類あるというわけだ。

 今回紹介するのは「シュロス」。首都ベルリンの隣町で、ポツダムにあるツェツィーリエンホーフ宮殿の一角をホテルにした「ルレクサ・シュロスホテル・ツェツィーリエンホーフ・ポツダム」だ。

 ポツダムは、プロイセン王国時代の宮殿群と庭園群を中心に21もの世界遺産が点在する、華やかな宮廷文化が開花した地。また、第二次世界大戦の戦後処理を話し合う「ポツダム会談」が行なわれた歴史の舞台でもある。しかも、会談の会場に選ばれており、いまでも当時のままの部屋を見学することができる。

 この宮殿はもともと、ドイツ統一を成し遂げたプロイセンの第9代皇帝ヴィルヘルム2世が、皇太子ヴィルヘルムと皇太子妃ツェツィーリエのために建てたイギリスチューダー風の山荘。壁から構造材の木が露出している「ハーフティンバー」という建築様式が特徴で、外観は意外に質素だ。とはいえ180室もある大邸宅。1917年の完成後すぐに革命が起こり、君主制が倒れたため、皇太子夫妻がここに住んだのはわずか1年だった。

 ホテルの客室数は41室。ゲストルームはクラシックなリネン、ランプ、肘掛け椅子などイギリス風に上品に統一され、優雅な気分で宿泊を楽しむには十分。スイートルームの窓からは公園や湖が眺められる。宮殿がある新庭園はイギリス式で美しく、湖に面している。観光客がいない静かな早朝、ゆっくりと散歩をすることができるのは宿泊者の特権だ。またレストランでは、本格的な郷土料理をエレガントな雰囲気のなかで味わえる。初夏から秋はテラス席もオープンし、軽食やお茶を楽しむこともできる。

 同ホテルでは食事や市内観光をセットにしたパッケージを設定しているので、FITでも利用しやすい。現在の募集型企画旅行ではベルリンを拠点に観光でポツダムに立ち寄り、同ホテルでの食事を組み込むケースが多く見られるが、FITには同ホテルの宿泊を組み込むことで、歴史的な重みを含めたこの地域の魅力を味わえることも伝えたい。

 なお、ベルリンの壁崩壊20周年を迎える今年、ドイツ観光局ではイヤーテーマを「ベルリンの壁崩壊20周年」とし、ベルリンとポツダムなどをルートに含んだ最新モデルコースを提案している。


▽シュロスホテル・ツェツィーリエンホーフ・ポツダム
http://www.relexa-hotel.de

▽古城ホテル協会
http://www.gast-im-schloss.de/

ドイツ観光局
http://www.visit-germany.jp/