ヨーロッパのクリスマスマーケット(5) スイス、フィンランド

  • 2008年12月12日
▽スイスのクリスマスマーケット

 スイス最大の都市チューリッヒでは、チューリッヒ中央駅を会場としたクリスマスマーケットが開催される。1日に2900本以上の列車が発着し、35万人以上が利用するというスイス最大の鉄道駅を会場にする市は、屋内のクリスマスマーケットとしてはヨーロッパ最大規模といわれ、そのにぎやかさが魅力である。

 クリスマスシーズンに列車でチューリッヒに到着すると、降車したとたんに目の前に広がる光景に驚かされる。駅構内に160近くの屋台が設置され、クリスマスのオーナメントやスイスの伝統料理などが売られている。圧巻は6000個ものスワロフスキーのクリスタルで飾られた、高さ約15メートルの巨大ツリー。その姿はまばゆいばかりに光を放つ。

 「数多くある屋台では、地元産のワインやラクレットなどの名物料理を安く楽しむことができます。ぜひ、お腹を空かせて訪れてみてください」とスイス政府観光局ではおすすめしている。駅の混雑による移動の影響が気になるところだが、「チューリッヒ中央駅はとても広く、特に問題はありません」とのこと。

 駅を出て南にのびる目抜き通りのバーンホフ通りに足を踏み出せば、ここでも美しいイルミネーションが輝き、飾り付けられたショーウインドウが続いている。普段は夜や週末には閉店するが、この時期には営業しており、一層にぎやかさを増している。イベントも盛りだくさんで、子供たちがクリスマスツリーのもとで聖歌を歌う「シンギングツリー」が、街中の数ヶ所で行われる。イベントは年によって内容が変わる場合がある。どの場所で、何が開催されるか、事前に確認してから訪れたい。

 スイスのクリスマスマーケットを訪れる日本人は増加しつつあり、近年は1000人ほどにのぼるという。観光局によると、チューリッヒに加え、バーゼル、モントルーのクリスマスマーケットが規模、充実度でおすすめだそう。ドイツ、フランスと国境を接するバーゼルは、短期間で3ヶ国のクリスマスマーケットを訪れることも可能だ。また、モントルーでは、登山電車で山の上にあるサンタクロースの家を訪ねるなど、ユニークな企画があり興味深い。スイスのクリスマスについて、観光局は「が家族を身近に感じる季節です。マーケットは人々の会話も弾み、活気のある和やかなムードに包まれていますので、地元の人々に混ざってその雰囲気を楽しんでほしいです」という。


▽フィンランドのクリスマスマーケット

 「サンタクロースの国」といわれる北欧のフィンランド。首都ヘルシンキで開催されるクリスマスマーケットは、毎年11月下旬のオープニングセレモニーにおいて、ヘルシンキ市長によるスピーチがされ、本格的なクリスマスシーズンがスタートする。

 このオープニングにあわせ、ラップランドに住むサンタクロースが駆けつけ、市内を巡るパレードに参加する。パレード終了後はデパートなどに現れて、子供たちとふれあうサンタの姿を見かける。

 ヘルシンキではこの後、市内や郊外のあちこちに市が立つ。メインはエスプラナーディ公園でのセイント・トーマス・クリスマスマーケット。100軒以上の露店が並び、クリスマスにちなんだかわいらしい雑貨などが販売される。カタヤノッカ地区のレディース・クリスマスマーケットは、ニットやジュエリーなど女性の手による手工芸品が集まる。世界遺産のスオメンリンナ要塞でもクリスマスのイベントが行われ、市内と郊外のあちこちで楽しめる。ただし、どれも開催期間や時期がそれぞれ異なるので、訪れる際には注意したい。

 12月13日には、スウェーデンから伝わったルシア祭が行われる。「光の女王」を選ぶコンテストが開催され、選ばれた女性はロウソクの冠をかぶり、光の精や騎馬隊、ムーミンなどを引き連れてコーラスをしながら、市内をパレードする。ビジット・フィンランドによると、ヘルシンキのクリスマスを最大限に楽しむには、12月13日を含む旅程をおすすめしたいという。


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