現地レポート:ヨーロッパ・アルペンルート ドイツ編
大自然へのプロローグ、ミュンヘンと
ドイツアルプスの美しさが凝縮されたベルヒテスガーデン
ドイツからアルペンルートを巡る場合、ゲートウェイとなるのがミュンヘン。ロマンティック街道や南ドイツの旅の起点でもあるが、アルペンルートの起点として訪れるなら、旧市街の散策やミュンベルグ城の定番の以外にも、大自然へのプロローグとして、自然と街が共存する豊かな暮らしに触れたい。公園が点在する緑豊かな街並みや、アルプスから流れ込む清らかなイザール川の流れを楽しみ、ベルヒテスガーデナーラント地方へ。面積の半分がドイツで最初に国立公園に指定された自然に恵まれ、ヨーロッパ・アルペンルートの中でもハイライトのひとつといえる美しい地域だ。
▽関連情報
◆アルペンルートだから際立つ、幾多の表情〜人気のヨーロッパ・アルプスで新商品の可能性〜(2008/07/10)
ミュンヘンでドイツのビール文化を垣間見る
ドイツといえば、ビール。ビールといえば、ミュンヘン、というほど、ビールはドイツのなかでもミュンヘン市民の生活に根付いたものとなっている。その歴史は古く、紀元前1800年頃に始まったといわれ、古代、中世、近代とゲルマン人の心と生活とともに発展してきた。それをあらわす特徴的なものが、16世紀のヴィルヘルム4世によるビールの材料を規定した法律「ビール純粋令」だ。その精神は現代にも引き継がれ、世界最古の食品条例といわれている。
街角のビアガーデンでは、さんさんと輝く太陽の光を楽しむように、市庁舎や教会の周りのマルクトに立つマーケットや露天には人々が繰り出し、ビアグラスを高々と上げてのどを鳴らしてビールを流し込む。旅の途中に一度は体験しておきたいものだ。また、ビアガーデンでは、細かなところに“ドイツらしさ”を感じるものが見つかるはずだ。
そのひとつが、カスターニアの木。初夏にかけて桃色や真っ白な花をつけ、緑豊かな木々の下に客席が並ぶ。ドイツでは、ビアガーデンやビール醸造所には、この木を植える必要があるそうだ。マロニエの一種である木からは冷気が出るといわれ、それによって地下の貯蔵庫を冷やし、心地よい風をもたらすとされている。
ちなみに、ビアガーデン内のテーブルクロスがかけられていない席は、客が自分で食べ物を持ち込むことが可能な場所だという。こうした合理的な仕組みからも、ドイツ人の精神を垣間見ることができるだろう。
ドイツアルプスのさわやかな街並み
ミュンヘンから約150キロメートル。ベルヒデスガーデナーラント地方を旅する起点となるのが、人口3000人のベルヒデスガーデンだ。ドイツで2番目に高いといわれる標高2713メートルのヴァッツマンを中心とする美しいアルプスの山並みや牧草地帯の緑と山小屋風の民家、かわいらしい街並みのコントラストは、周辺国の人々から長年愛されてきた。
街には3つの教会があり、定時になるとそれぞれの美しい鐘の音が重なり、アルプスの山並みにこだまする。それ以上の大きな物音がたつことは少なく、静けさの中で朝は小鳥のさえずりに目をさますという、夢のような体験が可能だ。日本人にはまだ認知が低いエリアであるが、コンパクトな街並みは散策にちょうどいいだろう。初夏には、大きく広がる青空の下に、かぐわしいほどの清らな空気に包まれ、秋には黄葉、冬にはクリスマスの彩りに包まれる。四季を通して、訪れる価値のある街だ。
ケーヒニ湖で非日常の体験を
市内からヴァッツマンに向かって南へ5キロ、車で約10分の場所に位置するケーニヒ湖。毎年7月から9月には、7万5000人の人が訪れる人気の観光スポットだ。幅1.2キロ、長さ8キロという南北に長いフィヨルド湖で、美しいエメラルドグリーンに輝く水をたたえる。この湖面の色は、アルプスの雪解け水が、山からミネラル分を削り取って溶け出したものだという。この湖では、電動ボートで行く対岸へのショートトリップを体験したい。
対岸の赤い屋根が印象的な聖バルトロメー修道院まで、船旅は約35分。電動ボードは1909年の運航開始時に作られたものだが、環境に配慮して揺れや騒音が少なく、静寂感あふれるこの地域の美しさをいっそう引き立てる。左右には山がそびえたち、雪解け水が滝となって流れ落ちる、北欧のフィヨルドクルーズのような絶景に囲まれたボートトリップが堪能できる。途中、船内ガイドがエンジンを止めれば、トランペット演奏の合図。トランペットを空にあおぎ、大空に向かって演奏を始めると、山肌に反響し、まるで遠くから同じ曲を呼応して演奏するかのように美しい調べがかえってくる。自然に抱かれ、非日常の世界に引き込まれる瞬間が、旅のすばらしさを再認識させてくれるだろう。
さて、目的地の聖バルトロメー修道院は、12世紀に建設され、王室が狩猟の拠点として利用したという。現在はレストランとして使用されおり、ランチをとることも可能だ。また、ここを起点したアルプスの初心者から上級者までのハイキングルートがあり、山小屋も完備している。散策は30分程度とし、船で引き返すのが良いだろう。
自然が守った激動の歴史の証、ケールシュタインハウス
通称「鷹の巣」と呼ばれるケールシュタインハウスは、ドイツ総督であったヒトラーの山荘だ。第二次世界大戦末期の数々の爆撃にも耐え、今もほぼ当時のままの姿を残している。今では世界中から年間30万人の人が訪れるが、日本での認知度は低く、歴史的な興味の強い人が、ミュンヘンからの日帰りオプショナルツアーとして訪れることがある程度だ。
山荘内はムッソリーニから送られた大理石の暖炉などが見どころ。会議室は、実際に軍的な会議の場として使用され、会議室では13回の正式な会議がされたという。また、ダイニングルーム、ティールームなど、すべての部屋にエピソードがある。現在は、バイエルン州によって経営され、ダイニングルームや会議室では、食事をとることもできる。
ここが、空爆を逃れたのも、アルプスの雪によって正確な位置がわかりづらかったからだという。大理石で白く輝く山荘は、周辺の残雪との見分けがつかず、爆弾の狙いがはずれたのだ。こうした地理的条件を感じさせるのは、ザルツカンマーグートまで見渡せる山頂からの眺望だ。標高1800メートルの位置から、彼の邸宅や愛人との逢引の場であったティールームの位置を探しながら、さまざまなエピソードに触れる体験は、印象的だろう。
ドイツアルプスの美しさが凝縮されたベルヒテスガーデン
ドイツからアルペンルートを巡る場合、ゲートウェイとなるのがミュンヘン。ロマンティック街道や南ドイツの旅の起点でもあるが、アルペンルートの起点として訪れるなら、旧市街の散策やミュンベルグ城の定番の以外にも、大自然へのプロローグとして、自然と街が共存する豊かな暮らしに触れたい。公園が点在する緑豊かな街並みや、アルプスから流れ込む清らかなイザール川の流れを楽しみ、ベルヒテスガーデナーラント地方へ。面積の半分がドイツで最初に国立公園に指定された自然に恵まれ、ヨーロッパ・アルペンルートの中でもハイライトのひとつといえる美しい地域だ。
▽関連情報
◆アルペンルートだから際立つ、幾多の表情〜人気のヨーロッパ・アルプスで新商品の可能性〜(2008/07/10)
ミュンヘンでドイツのビール文化を垣間見る
ドイツといえば、ビール。ビールといえば、ミュンヘン、というほど、ビールはドイツのなかでもミュンヘン市民の生活に根付いたものとなっている。その歴史は古く、紀元前1800年頃に始まったといわれ、古代、中世、近代とゲルマン人の心と生活とともに発展してきた。それをあらわす特徴的なものが、16世紀のヴィルヘルム4世によるビールの材料を規定した法律「ビール純粋令」だ。その精神は現代にも引き継がれ、世界最古の食品条例といわれている。
街角のビアガーデンでは、さんさんと輝く太陽の光を楽しむように、市庁舎や教会の周りのマルクトに立つマーケットや露天には人々が繰り出し、ビアグラスを高々と上げてのどを鳴らしてビールを流し込む。旅の途中に一度は体験しておきたいものだ。また、ビアガーデンでは、細かなところに“ドイツらしさ”を感じるものが見つかるはずだ。
そのひとつが、カスターニアの木。初夏にかけて桃色や真っ白な花をつけ、緑豊かな木々の下に客席が並ぶ。ドイツでは、ビアガーデンやビール醸造所には、この木を植える必要があるそうだ。マロニエの一種である木からは冷気が出るといわれ、それによって地下の貯蔵庫を冷やし、心地よい風をもたらすとされている。
ちなみに、ビアガーデン内のテーブルクロスがかけられていない席は、客が自分で食べ物を持ち込むことが可能な場所だという。こうした合理的な仕組みからも、ドイツ人の精神を垣間見ることができるだろう。
ドイツアルプスのさわやかな街並み
ミュンヘンから約150キロメートル。ベルヒデスガーデナーラント地方を旅する起点となるのが、人口3000人のベルヒデスガーデンだ。ドイツで2番目に高いといわれる標高2713メートルのヴァッツマンを中心とする美しいアルプスの山並みや牧草地帯の緑と山小屋風の民家、かわいらしい街並みのコントラストは、周辺国の人々から長年愛されてきた。
街には3つの教会があり、定時になるとそれぞれの美しい鐘の音が重なり、アルプスの山並みにこだまする。それ以上の大きな物音がたつことは少なく、静けさの中で朝は小鳥のさえずりに目をさますという、夢のような体験が可能だ。日本人にはまだ認知が低いエリアであるが、コンパクトな街並みは散策にちょうどいいだろう。初夏には、大きく広がる青空の下に、かぐわしいほどの清らな空気に包まれ、秋には黄葉、冬にはクリスマスの彩りに包まれる。四季を通して、訪れる価値のある街だ。
ケーヒニ湖で非日常の体験を
市内からヴァッツマンに向かって南へ5キロ、車で約10分の場所に位置するケーニヒ湖。毎年7月から9月には、7万5000人の人が訪れる人気の観光スポットだ。幅1.2キロ、長さ8キロという南北に長いフィヨルド湖で、美しいエメラルドグリーンに輝く水をたたえる。この湖面の色は、アルプスの雪解け水が、山からミネラル分を削り取って溶け出したものだという。この湖では、電動ボートで行く対岸へのショートトリップを体験したい。
対岸の赤い屋根が印象的な聖バルトロメー修道院まで、船旅は約35分。電動ボードは1909年の運航開始時に作られたものだが、環境に配慮して揺れや騒音が少なく、静寂感あふれるこの地域の美しさをいっそう引き立てる。左右には山がそびえたち、雪解け水が滝となって流れ落ちる、北欧のフィヨルドクルーズのような絶景に囲まれたボートトリップが堪能できる。途中、船内ガイドがエンジンを止めれば、トランペット演奏の合図。トランペットを空にあおぎ、大空に向かって演奏を始めると、山肌に反響し、まるで遠くから同じ曲を呼応して演奏するかのように美しい調べがかえってくる。自然に抱かれ、非日常の世界に引き込まれる瞬間が、旅のすばらしさを再認識させてくれるだろう。
さて、目的地の聖バルトロメー修道院は、12世紀に建設され、王室が狩猟の拠点として利用したという。現在はレストランとして使用されおり、ランチをとることも可能だ。また、ここを起点したアルプスの初心者から上級者までのハイキングルートがあり、山小屋も完備している。散策は30分程度とし、船で引き返すのが良いだろう。
自然が守った激動の歴史の証、ケールシュタインハウス
通称「鷹の巣」と呼ばれるケールシュタインハウスは、ドイツ総督であったヒトラーの山荘だ。第二次世界大戦末期の数々の爆撃にも耐え、今もほぼ当時のままの姿を残している。今では世界中から年間30万人の人が訪れるが、日本での認知度は低く、歴史的な興味の強い人が、ミュンヘンからの日帰りオプショナルツアーとして訪れることがある程度だ。
山荘内はムッソリーニから送られた大理石の暖炉などが見どころ。会議室は、実際に軍的な会議の場として使用され、会議室では13回の正式な会議がされたという。また、ダイニングルーム、ティールームなど、すべての部屋にエピソードがある。現在は、バイエルン州によって経営され、ダイニングルームや会議室では、食事をとることもできる。
ここが、空爆を逃れたのも、アルプスの雪によって正確な位置がわかりづらかったからだという。大理石で白く輝く山荘は、周辺の残雪との見分けがつかず、爆弾の狙いがはずれたのだ。こうした地理的条件を感じさせるのは、ザルツカンマーグートまで見渡せる山頂からの眺望だ。標高1800メートルの位置から、彼の邸宅や愛人との逢引の場であったティールームの位置を探しながら、さまざまなエピソードに触れる体験は、印象的だろう。
ミュンヘン空港、本格ビアガーデンでドイツらしさを満喫
ミュンヘン空港の、「ビールといえば、ミュンヘン」に
ある空港らしいサービスといえば、空港T2前のビアガーデ
ン「エアブロイ」だ。店名と同じビール「エアブロイ」は、
店内で醸造されており、その貯蔵庫などを店内でみること
もできる、麦芽と水、酵母、ホップのみを使用した無添加
のビールは、まさに作りたて。また、ビアガーデンのつく
りも本格的で、カスターニアの木で緑に囲まれている。空
港内で、飛行機が発着する機械音や小鳥の声に耳を傾けな
がら、空港仕込みのビールのグラスを傾ける。ミュンヘン
到着とともに、また同空港の利用客の3割といわれる乗継客
にとっても、待ち時間体験できるドイツならではのサービ
スといえるだろう。
▽増える需要に対応し、増築が進む
ミュンヘン空港は、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)と
の共同出資による会社が運営している。そのため、LHと空
港が一体となり、旅客の利便性を高める効率的な空港とし
て知られている。
ミュンヘン空港は現在、2012年の完成を予定して、T3の
増築をすすめている。ここは、T2と同様にスターアライア
ンスの専用ターミナルとして使用される計画だ。これは、
空港全体のキャパシティが2500万人に対して、現在2300万
人まで達している状況を改善するためのもの。新ターミナ
ルは、2000万人のキャパシティを確保しているという。
また、今年3月には、LHのスターラウンジが改装された。
新しく建てられたファーストクラスラウンジでは、VIP専
用のイミグレーションやセキュリティチェックがあり、メ
ンバーは優先的な出入国や乗り継ぎが可能となる。また、
室内のシンプルかつデザイン性に溢れた空間は、他に類を
見ないもの。現在、日本人、韓国人などのスタッフが地上
職として勤務し、アジアからの旅客へのサポート体制は万
全。ドイツ人乗務員に対する日本語教育実習も実施してい
る。
◆ミュンヘン空港、スターアライアンス専用のターミナル2をレポート[掲載日:2008/02/06]