ハワイ体験レポート―その8 ハワイ島のアワビの養殖見学ツアー
ハワイの海洋深層水で育つ極上の海の幸
―ハワイ島のアワビの養殖見学ツアー―
食はどこの旅でも、楽しさを演出する大きな要素。特にハワイは新鮮な魚介類、南国の果物、大地の恵みで育った野菜類などの素材に恵まれているうえ、ハワイの伝統料理はもちろん、世界中から集まってきた人々の食文化がハワイ風にアレンジされた最先端のグルメも味わうことができ、食に期待する旅行者も多いだろう。今回、紹介するのは素材の秀逸さを改めて確認するツアー。対象食材は、特にわれわれ日本人は眼がない、アワビであるのも注目したいポイントだ。(現地取材:宮田麻未、写真:神尾明朗)
◆ミネラルたっぷりの水がつくりだす天然以上の味
ハワイ島のコナ空港の近くに、ハワイの深海から汲み上げた海洋深層水を利用してさまざまな試みを行なう会社が集まる工業団地がある。その一角にあるのが、アワビの養殖をしているビッグ・アイランド・アバロニ社だ。もちろん、常夏のハワイでは天然のアワビは育たない。しかし、600メートルの深海から汲み上げられる海水の温度は6度と冷たく、これに温かい表層水を混ぜ合わせて、エゾアワビの成育に理想的な温度を作り上げるのだ。深層水はミネラル分たっぷり。バクテリアもほとんどいないきれいな水だ。この深層水で養殖した海草がアワビの餌。人工飼料をいっさい使用しないのが自慢だ。
「天然アワビ以上の味を目指している」と胸を張るのは、ビッグ・アイランド・アバロニ社のCEOである新井宏氏。1997年から始まった事業開発の苦労話から、アワビにかける新井氏の熱意がひしひしと伝わってくる。1時間のツアーで、アワビの稚貝から孵化場、餌になる海草の養殖タンク、そして出荷前の仕分け場まで見ることができる。もちろんツアーの最後は試食。ふっくらと煮ふくめられたアワビを噛みしめると、深い味わいがじんわりと口に広がっていく。アワビは水のない状態でも30時間ほど生存できるので、日本へのお土産用のパッケージも開発されている。
最近、食塩や化粧品その他でも注目されている海洋深層水。修学旅行や研修旅行の素材としてもユニークなツアーといえよう。
▽ビッグ・アイランド・アバロニ社
http://www.bigislandabalone.com
<ワンポイント>
◆知的研究の拠点としてのハワイ
〜新たな視察、教育旅行の素材として
ハワイは四方を海に囲まれていることから、海洋研究がさかん。ハワイ州政府とハワイ大学は世界で初めて、深層水研究所を設立した。ハワイは沖合いでの養殖ではパイオニア的な存在で、捕獲用のかごを深海に埋め、そこでの養殖を成功するなど、養殖、および深層水の研究をしており、開発の観点ではハワイが先端の技術を持っている。この背景から、日本の高陽社はハワイでの海洋深層水を利用した水の販売を行なっており、日本との接点も身近にある。
さらに、各種の研究分野を詳しく見ていくと、ハワイ大学には微生物海洋科学研究センターが最近、設立されるなど、先端分野で活発な活動が進められている。このセンターでは海洋の微生物や生息物の研究をしており、海洋科学者も在籍。微生物が地球環境や気候変動とどのような関係があるかを研究しているという。
こうした学習要素は、一般向けから大学生のような研究者まで、幅広く旅行需要に結びつけることができるのではないか。例えば、サトウキビの搾りかすを使ったバイオエネルギーの研究もハワイでは推進されており、環境を意識したテーマ性のある旅行ができる場所ともいえる。今回の深層水を利用した養殖などの海洋分野にとどまらず、バイオ技術、そしてこれまで知られている天文や火山の分野も含め、知的研究の拠点としての側面も、新しいハワイ旅行の切り口となるだろう。
―ハワイ島のアワビの養殖見学ツアー―
食はどこの旅でも、楽しさを演出する大きな要素。特にハワイは新鮮な魚介類、南国の果物、大地の恵みで育った野菜類などの素材に恵まれているうえ、ハワイの伝統料理はもちろん、世界中から集まってきた人々の食文化がハワイ風にアレンジされた最先端のグルメも味わうことができ、食に期待する旅行者も多いだろう。今回、紹介するのは素材の秀逸さを改めて確認するツアー。対象食材は、特にわれわれ日本人は眼がない、アワビであるのも注目したいポイントだ。(現地取材:宮田麻未、写真:神尾明朗)
◆ミネラルたっぷりの水がつくりだす天然以上の味
ハワイ島のコナ空港の近くに、ハワイの深海から汲み上げた海洋深層水を利用してさまざまな試みを行なう会社が集まる工業団地がある。その一角にあるのが、アワビの養殖をしているビッグ・アイランド・アバロニ社だ。もちろん、常夏のハワイでは天然のアワビは育たない。しかし、600メートルの深海から汲み上げられる海水の温度は6度と冷たく、これに温かい表層水を混ぜ合わせて、エゾアワビの成育に理想的な温度を作り上げるのだ。深層水はミネラル分たっぷり。バクテリアもほとんどいないきれいな水だ。この深層水で養殖した海草がアワビの餌。人工飼料をいっさい使用しないのが自慢だ。
「天然アワビ以上の味を目指している」と胸を張るのは、ビッグ・アイランド・アバロニ社のCEOである新井宏氏。1997年から始まった事業開発の苦労話から、アワビにかける新井氏の熱意がひしひしと伝わってくる。1時間のツアーで、アワビの稚貝から孵化場、餌になる海草の養殖タンク、そして出荷前の仕分け場まで見ることができる。もちろんツアーの最後は試食。ふっくらと煮ふくめられたアワビを噛みしめると、深い味わいがじんわりと口に広がっていく。アワビは水のない状態でも30時間ほど生存できるので、日本へのお土産用のパッケージも開発されている。
最近、食塩や化粧品その他でも注目されている海洋深層水。修学旅行や研修旅行の素材としてもユニークなツアーといえよう。
▽ビッグ・アイランド・アバロニ社
http://www.bigislandabalone.com
<ワンポイント>
◆知的研究の拠点としてのハワイ
〜新たな視察、教育旅行の素材として
ハワイは四方を海に囲まれていることから、海洋研究がさかん。ハワイ州政府とハワイ大学は世界で初めて、深層水研究所を設立した。ハワイは沖合いでの養殖ではパイオニア的な存在で、捕獲用のかごを深海に埋め、そこでの養殖を成功するなど、養殖、および深層水の研究をしており、開発の観点ではハワイが先端の技術を持っている。この背景から、日本の高陽社はハワイでの海洋深層水を利用した水の販売を行なっており、日本との接点も身近にある。
さらに、各種の研究分野を詳しく見ていくと、ハワイ大学には微生物海洋科学研究センターが最近、設立されるなど、先端分野で活発な活動が進められている。このセンターでは海洋の微生物や生息物の研究をしており、海洋科学者も在籍。微生物が地球環境や気候変動とどのような関係があるかを研究しているという。
こうした学習要素は、一般向けから大学生のような研究者まで、幅広く旅行需要に結びつけることができるのではないか。例えば、サトウキビの搾りかすを使ったバイオエネルギーの研究もハワイでは推進されており、環境を意識したテーマ性のある旅行ができる場所ともいえる。今回の深層水を利用した養殖などの海洋分野にとどまらず、バイオ技術、そしてこれまで知られている天文や火山の分野も含め、知的研究の拠点としての側面も、新しいハワイ旅行の切り口となるだろう。