センチュリークルーズ、日本市場開拓を加速 旅行会社出身者を相次ぎ採用、取扱社は倍増へ
「問い合わせを待つ」営業から、船会社側から提案する営業へ
旅行会社側から船会社側へ立場を移した松原氏が、今後取り組みたいとするのが、より能動的な旅行会社営業だ。
これまで商品造成をする側では、パンフレットなどで航路を選び、船会社に空室や料金を問い合わせるケースが多かったという。これに対し松原氏は、船会社側から「この航路、この日程を今売りたい」という情報を旅行会社へ積極的に提示し、場合によっては価格面も含めて販売しやすい条件を用意する余地があると指摘する。
「会社として売りたいところを、もっと能動的にセールスしていけたらいい」と松原氏。日本法人にはプライシングを含め大きな裁量が与えられており、久野氏も「支社の権限はすごく多い。ベストプライス、適正価格はこちらで決めて、という感じ」と説明する。
旅行会社で商品を造成・販売してきた経験を、今度はサプライヤー側の商品設計や価格、販促に反映できることについて、松原氏も「プライシングなどもある程度こちらで決められるのはやりがいがある」と話す。
角田氏も旅行会社から船会社へ移った一人だ。前職のベストワンドットコムでは約6年間クルーズに携わり、チャータークルーズでは部門責任者としてイベントや船内企画なども担当した。そこで船会社と仕事をする機会が増え、「広く浅くいろいろな商品を扱うより、自社の商品にプライドを持って販売すること」に魅力を感じたという。
一方、前職時代にリバークルーズについて問い合わせを受けたのは6年間で2、3件程度だったといい、日本市場での認知拡大は引き続き課題となる。日本法人では旅行会社への法人営業などを担い、自身のクルーズ販売経験を生かす。
長江から欧州、エジプトへ 旅行会社との接点拡大
センチュリークルーズは長江に加え、欧州での事業も本格化している。久野氏によると、欧州ではハイブリッド船の「センチュリー・スター」に続き、新造船「センチュリー・ダイヤモンド」を投入し、将来的には4隻体制を計画する。エジプトでは当初予定していた現地船のフルチャーター計画を中東情勢などから取りやめ、自社船による展開に軸足を移し、2028年には「センチュリー・スカイ」を導入し、5隻体制を計画している、
松原氏は、欧州リバークルーズについて「日本に法人や支社を持つリバークルーズ会社は少ない」とした上で、日本で販売を広げる余地は大きいとの見方を示す。エジプトについても、日本の旅行会社から新しい船へのニーズが強く、「日本マーケットには合う」と期待する。
今後はFAMトリップも継続する。2026年は旅行会社やインフルエンサーを対象に実施しており、欧州でのFAMも計画。消費者向けの情報発信と旅行会社向け営業を並行して市場を育成する。
久野氏は、クルーズそのものだけを前面に出すのではなく、長江であれば三国志、欧州やエジプトであれば各地域の歴史や文化など、「デスティネーションを目的に商品を造成した方がお客様の裾野は広がりやすい」と指摘する。
長江クルーズを中心としたアジア発のブランドから、世界のリバークルーズを扱うブランドへの転換を進めるセンチュリークルーズ。日本では旅行会社出身者の知見を取り込みながら、商品造成から販売支援まで一歩踏み込んだB2B体制の構築を進める。
