宿泊業の倒産89件、2年連続増 老朽化投資できない地方中小に淘汰進む

 帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した宿泊業の倒産件数は89件となり、前年から11件増加した。宿泊業の倒産は2年連続の増加で、休廃業・解散178件を含めると、年間で267件の宿泊事業者が市場から退出したことになる。訪日客需要は増加傾向にあるものの、「高単価・高付加価値」を求める需要に対応できるかどうかで、経営の二極化が一段と進んでいる状況だ。

 地域別にみると、倒産や廃業の75.3%が三大都市圏を除く地方で発生した。3年ぶりの7割台で、インバウンド需要の恩恵が限定的な地方では、稼働率や客単価が十分に回復しない小規模旅館や中小ホテルの行き詰まりが顕在化している。都市部では高付加価値型施設への需要が堅調な一方、地方では回復の波に乗り切れない事業者が多い構図だ。

 倒産要因をみると、ゼロゼロ融資の返済負担に加え、人手不足、原材料高、光熱費上昇といったコスト増が経営を圧迫している。さらに近年は、設備の老朽化や修繕費負担が直接的な要因となるケースが増えており、直近5年間では倒産要因に老朽化が含まれる事例が58件確認された。これは過去と比べても高い水準で、コロナ禍で債務が膨らみ、更新投資に踏み切れない老舗旅館や中小ホテルが淘汰されつつある。

 宿泊業は装置産業として定期的な改修が不可欠であり、インバウンド客が求めるサービス水準への対応も求められる。高単価市場へのシフトが進むなか、投資余力やデジタル対応力の差が競争力を左右している。2026年にかけて、設備投資の成否を軸にした宿泊業の選別は、さらに進行する可能性が高いとみられる。